明日号砲! 箱根駅伝予選会で46分の10を勝ち抜くのは?…注目は順大、中大の”超大物”ルーキーと初出場を狙う駿河台大
戦力を考えると、神奈川大、日体大、日大の3校も予選通過が有力だ。ただし、少しでもミスがあると危うい状況が待っている。神奈川大は1万m28分台の北崎拓矢、日体大は箱根駅伝に出場した3人(亀田優太朗、大内一輝、太田哲朗)、日大は箱根駅伝6区4位の宮崎佑喜がメンバー漏れ。いずれも万全とはいえないからだ。 すでに6校を挙げており、順当にいくと残りは4枠。有力校にミスがあれば5~6枠か。ここからは大混戦となる。ボーダー争いの中心になりそうなのが、前回出場を果たしている拓大、法大、国士大、筑波大の4校だ。拓大と国士大はケニア人留学生がタイムを稼ぐことができるのが強みで、法大は堅実な走りをするのがうまい。筑波大は前回サプライズを演じたメンバーが大量に残っている。 それから前回落選した城西大と山梨学大も上記の大学と同じくらいの実力を持っている。さらに、予選会の戦いを熟知している上武大、箱根復帰を目指す大東大、1年生を7人エントリーした東農大も予選通過ライン付近で激しい戦いを見せるだろう。 例年、1校は突破が有力視されている大学が涙をのんでおり、予選通過校の予想は難しい。まだまだ他の大学にもチャンスはある。そのなかで注目すべきは初出場を目指す麗澤大と駿河台大だ。麗澤大は前回チーム10人目のフィニッシュが全体の6番目。予選通過ラインに26秒差(総合11位)まで接近している。出走メンバーが9人(エントリーされたのは8人)残っており、前回の経験を生かして、「初出場」を勝ち取ることができるか。 駿河台大は前々回の18位から前回は12位まで大躍進。本戦出場までは1分58秒差だった。前回出走メンバーで卒業したのは、チーム9・10・12番目の選手。日本インカレ1万m優勝のジェームス・ブヌカだけでなく、1万m28分台に突入した吉里駿と河合拓巳にも上位の期待がかかる。
チームの指揮を執るのは法大時代に箱根路を沸かせた徳本一善駅伝監督。管理栄養士の資格を持つ妻・梨江さんも選手たちの食事と健康状態を日常的にチェックしている。今季はハナマルキとタイアップして、「液体塩こうじ」を使った献立で、腸内環境を整えてきた。 10月6日に行われた『液体塩こうじを使った定番アスリートごはん』オンライン記者発表会に出席した徳本監督によると、今季は例年と比べて選手たちの体調がいいという。 「今季はコロナ禍のなかでも体調不良者がいなかったんです。健康的に栄養を摂取しようという考えが浸透したことと、腸内環境が良くなった部分があったのかなと感じています。貧血になる選手もかなり減ったように思いますね」 さらに今季は選手たちの“熱量“が違うと徳本監督は感じている。 「これまでは前年よりも前進していこうというモチベーションでしたが、今年は選手の目が違いました。箱根に行くんだという気持ちが、選手のなかから初めて生まれたんです。それが僕にも伝わり、指導にも力が入りました。濃い1年だったと感じています」 各校のエントリー状況を見たうえで、徳本監督は、「順当にいけば、中央学大、中大、順大、国士大、神奈川大、日体大、法大あたりは強い。その他は横一線だと思っています」と戦いを読んでいる。そして、「最終的には選手がいかにベストを尽くせるのか。ひとりでもブレーキやアクシデントがあるとウチは通過できません。当日の天候を見ながら、しっかりと選手たちに指示を出したいと思っています」と決戦を見すえていた。
予選会の戦いは、エースたちがタイムを稼ぎ、その他は集団走などを用いて確実に走る戦略がスタンダードになっている。前回はスタート後に気温が急上昇した影響で、記録水準は低かったが、今年は当日の天気予報は雨で気温は14度ほどになる見込みだ。 今回は終盤までコースがフラットということもあり、例年以上のタイムが求められる可能性が高い。そのなかで指揮官たちは、どれだけの「タイム設定」を選手たちに与えるのか。魔物が棲むといわれる箱根駅伝の予選会。チームの走力だけでなく、“監督力”がポイントになる。 (文責・酒井政人/スポーツライター)