平野紫耀、堂本剛、BTS…中目黒「桜まつり」の名物“ぼんぼり”に、なぜか「男性アイドル」の名前が書き込まれる理由
韓国発祥の「センイル広告(誕生日広告)」
およそ4キロにわたる目黒川沿いの桜並木には、約3,000個のぼんぼりが飾られているが、そのなかでアイドルの名前が記されたものを数えてみると、ざっと200個以上はありそうだ。 平野紫耀が圧倒的な人気で約30個。次いで堂本剛の約10個。他にも「高橋文哉」「嵐」「なにわ男子」「青山陸」「BTS」……。目を引くのは旧ジャニーズのメンバーだが、韓流アイドルやLDH所属アーティストの名前も。 このようにファンが“推し”を私費で宣伝する現象を「応援広告」という。韓国が発祥のカルチャーで、“推し”の誕生日を祝う広告が多いことから、韓国では「センイル広告(誕生日広告)」と呼ばれている。ソウルの地下鉄では車両の広告を推しの写真で埋め尽くす「トレインジャック・ラッピング」まであるそう。 「応援広告」は日本でも徐々に浸透しており、広告代理店のJR東日本企画が実施した調査によれば、2023年度の市場規模は推計で377億円にのぼる。今では駅構内の掲示スペースなどに“推し”のポスターを掲げることのできる専用のパッケージ商品もあり、今後も成長が見込まれるそうだ。 それにしても、なぜ「応援広告」が地元のお祭りにまで波及するようになったのか。
「嵐の活動休止」が転機に
「協賛ぼんぼりが始まったのは今から約30年前のこと。当時、目黒川の氾濫を抑えるための改修工事で、桜の木の植え替えが行われたんです。なんとか桜並木を復活させると同時に、地域を発展させたいという思いから、地元の商店街のお店など、一軒一軒に協力を呼び掛けてね。その感謝の気持ちを表すために、というのが始まりなんですよ」 そう教えてくれたのは地元商店街の役員である。アイドルグループの名前が目立つようになったのは2012~13年の頃からだという。 「その頃から、商店街の店の名前ではない、メッセージ性のあるぼんぼりがポツポツと出始めました。それがSNSに取り上げられて少しずつ認知されるようになり、数が一気に増えたのが2019年頃です。ちょうど嵐が活動休止を発表した年で、メンバーとの別れを惜しむメッセージが目につきました」(同) 今年からWeb申し込みを始めたところ、応募開始から1日半で締め切りになるほどの人気に。他府県や海外からの問い合わせもあるという。 「推しぼんぼり」の急増についてどう感じているのかと聞くと、「祭りを盛り上げてくれて嬉しい気持ちなんですが」と断りつつも、こんな本音もこぼした。 「ファンの方がね、好きなアイドルグループを応援したいという気持ちはよく分かります。ただ、もともと我々が取り組んできた趣旨とは、ちょっと方向性が違ってきているところもあって……」(同)