「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」11月10日まで開催中 9月7日には「大地の運動会」も実施
■松代エリア
椛田ちひろ+有理の姉妹作家が、棚田が美しい松代エリアにある峠集落の空き家で展開しているのは、豪雪地帯で暮らす人々の生活と雪をモチーフにしたインスタレーション。「人々が稼働させる除雪機が、雪を空へ返していく装置にも見えた」ことから想を得て、家屋の1階に除雪機の刃をモチーフにした回転するオブジェを設置。ここから「2階へと雪を巻き上げ、空へと返していくような、冬支度をしていくようなイメージ」で、1階から2階へと、家全体を使ってストーリーが展開していくような作品だ。 2014年に閉校した奴奈川小学校の校舎を利用した施設「奴奈川キャンパス」では、「子ども五感体験美術館!」をキャッチフレーズに子どもたちが木や光、音などを五感で体験できるさまざまな作品が展示されている。 教室の入口からのびるトンネルをくぐり抜けた先に広がるのは、色とりどりの動物などさまざまな形のオブジェや、オブジェから奏でられる音楽に満たされた世界。カラフルな覗き穴からは、美しい里山の風景を覗き見ることもできる。竹を素材にしたサウンドオブジェを創作する松本秋則と猫をモチーフにした作品で知られる秋本倫子は、カラフルな色と軽やかなかたち、優しい音色に包まれた架空の惑星「トラリス」を教室のなかに創り出した。 ベルリンを拠点に活躍するマルチメディア・アーティスト瀬山葉子は、回転するガラス板を利用して光を分割、再構成することで色彩の光が踊るように空間内を行き交う幻想的なインスタレーションを展開。会場には小さなガラス板が用意され、来場者もそのガラス板を使って光を変化させることで、作品に参加することができる。 ガムテープと新聞紙を使って物語性のある作品を制作している関口光太郎が、作品のモチーフに選んだのはこの地に伝わる「奴奈川姫伝説」。イヤな求婚者から逃れるために奴奈川の地を訪れたという伝説の姫が「逃げていたのがもし冬ならば、除雪しながらだっただろう」という空想のもと、なんと姫と除雪車を合体。来場者も雪に見立てて会場内に敷き詰められた新聞紙のなかを歩いたり、新聞紙を使って工作することもできる。