「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」11月10日まで開催中 9月7日には「大地の運動会」も実施
■十日町エリア
十日町市七和地区は、さまざまな集落や市街の出身者が集まったニュータウンでありながらも、住民たちの結束力が強い地区だという。その拠点となっている「七和防災センター」で作品を展示しているのは、金属を使い、人が関わることで動く立体作品を手がける東弘一郎。「この地区のリーダーに話を聞いたところ、自分たちの強みは人間の力、人間がたくさん集まれることだとおっしゃっていて。そこから除雪車を人力で動かせないかと考えたんです」。豪雪に向き合う住民たちの団結力をイメージした作品は、自転車のように人が漕ぐことで動かすことができるその名も《人間エンジン》。会期中、走行イベントも行われている。 十日町市の天然記念物にも指定されている高靇(こうりゅう)神社は、約12,200平方メートルもの敷地にスギ、ブナ、ヒノキなどの樹木が鬱蒼と茂り、日中でも涼しく神秘的な空気を感じる場所。こちらの境内では、景山健とアントニー・ゴームリーの作品が設置されている。 直径約5メートルにおよぶ大きな杉玉は、2000年の第1回から「大地の芸術祭」に参加している景山健の作品《HERE-UPON ここにおいて 依り代》。杉玉が4本の木に支えられるように設置され、中央にはそれに守られるように杉の幼木が植えられている。神霊が寄り付くものを意味する「依り代(よりしろ)」と題した作品には、「生きとし生けるもの、またそれ以外のものでも、ここで出会い、時間を共有するきっかけになってほしい」という景山の願いが込められている。 空間と人の身体の関係性をテーマにした彫刻作品で広く知られるイギリスの彫刻家アントニー・ゴームリーの《MAN ROCK Ⅴ》は、1979年から続くシリーズの新作。地元の石職人と協働し、自然の力によって形作られた信濃川の石の造形に寄り添い、それをいかすように、石を抱きしめる人の身体を刻みつけた。神社という伝統的な場所に溶け合うように設置された作品は、地球環境と人間との関係について静かに問いかけている。