「母子手帳」っていつ始まったの? 自治体によって内容に違いも
妊婦に対して市区町村が発行する母子手帳。馴染みのある方も多いかもしれませんが、自治体によってその内容が少しずつ異なることは知っていますか? そもそも母子手帳制度はいつ始まり、何のためのものなのでしょうか。
「母」と「子」の情報を一元化
厚生労働省によると、母子健康手帳(通称:母子手帳)の原形ともいえる「妊産婦手帳」が交付されたのは太平洋戦争中の1942年。戦中、戦後直後の混乱期に手帳を持つ人が物資の配給を優先的に受けられるなど、仕組みとして機能したことから戦後も継続されました。 一方、乳幼児の発育記録などのために42~45年の間、「乳幼児体力手帳」が配布されていました。しかし、妊産婦手帳と乳幼児体力手帳はそれぞれ別個なものでした。
妊産婦手帳をもとに、母子の体調の変化や子どもの状況などを一冊で一元管理できる「母子手帳」が配布され始めたのは48年のこと。65年に正式名称が「母子健康手帳」に変更されましたが、その後も「母子手帳」と呼ばれることが多く、いまにいたっています。
記載情報には「必須」と「任意」がある
厚労省は母子手帳の最も重要な意義として、「妊娠期から乳幼児期までの健康に関する重要な情報が、一つの手帳で管理される」ことを挙げています。母と子の各種の健康診査や予防接種の接種状況が記録されていくことで、異なる医療機関を受診した場合などでも「継続性・一貫性のあるケアを提供できるメリット」があるとしています。 その母子手帳ですが、内容は各自治体によって異なることがあります。全国、どの市区町村でも共通で記載される箇所(省令様式)と、市区町村の判断で独自の制度紹介などができる箇所(任意様式)があるからです。 まず省令様式です。内容は妊娠中の経過、乳幼児期の健康診査の記録、予防接種の記録などで、2012年以降はどの自治体でも表紙から51ページ目までがこれにあたるようです。 一方の任意様式は、日常生活上の注意、子育て上の注意、妊産婦・乳幼児の栄養摂取方法などで、厚労省から作成例が示されているものの、「各市町村の判断で、独自の制度など具体的な記載内容を作成することが可能」とのことです。