E-クラッチはCB650R/CBR650Rになぜ採用? 次の搭載車はCB1000ホーネット?
DCTの設定があるモデルには採用しない?
そういえば、ホンダE-クラッチの次なる搭載車としては、ツアラーのNT1100やネオクラシックのホーク11なども噂(うわさ)になっています。アドベンチャーバイクのCRF1100Lアフリカツインと同系の1082cc・水冷直列2気筒エンジンを搭載するモデル群です。 これらに搭載する可能性に関し、CB650R/CBR650R開発責任者代行の吉田昌弘氏は、「DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)の設定があるエンジン」のため、可能性は低いといいます。 DCTとは、一連の変速操作を自動化するホンダ独自のAT(オートマチック・トランスミッション)機構のことです。2016年に、CRF1100Lアフリカツインへ初搭載し、その後、レブル1100やNC750Xなど、さまざまなモデルに展開。NT1100にもDCT仕様があり、ホーク11はMT車だけですが、基本は同じエンジンなので、DCT仕様を設定することは比較的に容易だといえます。 ちなみに、DCTでは、クラッチレバーだけでなく、シフトペダルによる変速操作も基本的には不要。ホンダE-クラッチが、機能オン時に変速操作を行う際も、シフトペダルのアップ/ダウンが必要な点とは異なります。 吉田氏によれば、これらモデルにも、もちろん「技術的にはホンダE-クラッチの搭載は可能」。でも、DCTがあるのに、「わざわざホンダE-クラッチ搭載車を作るのはどうか」といいます。つまり、あまりニーズがないのでは? といった感じでしょうか。 余談ですが、もし、市場のニーズが高まるなどで、これらモデルにもホンダE-クラッチが採用されるとすれば、吉田氏は「DCTに勝ったことになる」といいます。 「どうせ作るなら、(他メーカーだけでなく)同じホンダのシステムにも勝つ」。吉田氏は、こうした気概を持ってホンダE-クラッチの開発を進めたといいます。ホンダは、昔から、例えば「直4対V4」など、同じ社内の技術者同士も競い合うことで、テクノロジーや販売シェアを伸ばしてきたメーカー。まさに、ホンダ伝統の「技術屋魂」から生まれたのが、このシステムだということですね。