加藤シゲアキさん「戦争の中でも人が生きていること、忘れない」 秋田の空襲描いた小説「なれのはて」、執筆に覚悟【つたえる 終戦79年】
だから小説では、犠牲者名簿に名前のあるその一人にフォーカスしていきます。心の奥の奥にどんな思いを持っていたのだろう、と考えるんです。「なれのはて」で描きたかったのは、戦地にも人間がいるということです。 戦地でも人は生きているという当たり前のことを、忘れたくないし、書きたいし。それが伝わったらうれしいなと思います。 ▽「二元論で話すのはやめよう」平和は他者を理解することから 戦争をしないためには、相手を理解することが必要だと思います。 どの国も歴史が違うので、摩擦があったり、単純に共感することが難しかったりするのかもしれません。それでも、理解しようとする姿勢が大事だと思います。 2020年代に戦争が頻発しているのは、本当に胸が痛みます。僕もウクライナとロシアの関係を調べ、戦争について考えることがあります。 たまに「どっちが悪者なの」と聞かれますが、二元論はすごくまずい。「まず二元論で話すのはやめよう」と伝えています。
彼らが何に怒り、何を求めているのか、何を守っているのか。歴史を学び、他者を理解していくしかありません。 自分ができることは限られていると思いますが、NEWSの一員として思うのは、エンターテインメントはすごく重要だということです。 人を楽しませる人間的に豊かな営みは、この世界を守りたいと思う平和への願いへつながっていくと思います。 作家としては、作品で人間を描いていくことが、平和につながるといいなと思います。できることを一生懸命、優しさを持ってしていきたいです。 × × × かとう・しげあき 1987年、広島市生まれ。2003年に男性アイドルグループ「NEWS」としてデビュー。12年に「ピンクとグレー」を出版し、作家としても活動している。