五輪前までに運行開始へ 東京都が基幹交通に位置づける「BRT」構想とは
新しい形の公共交通であるBRT(bus rapid transit=バス高速システム)がいま注目されています。東京都は、臨海部のBRT運行事業者を京成バスに決め、19日には基本協定を締結しました。 【写真】舛添都知事が都バス24時間化「失敗」発言 交通政策は変わる? 高齢化社会を迎え、自動車を運転できない高齢者が増えています。また、昨今は高齢者ドライバーによる事故が多発していることもあって、公共交通の整備は行政課題になりつつあります。しかし、地下鉄は建設費が莫大になり、人口が減少する今後のことを考えると、たやすく建設できるものではありません。BRTは連接バスと呼ばれる大型車両で運行されていたり、BRT車両だけが走行できる専用道路などが整備されているのが特徴です。このように従来のバスと異なるBRTは、高速かつ大量に多くの人を運べる交通システムとして注目されているのです。
東京五輪前までに臨海部で運行目指す
2020年に開かれる東京五輪・パラリンピックは、新国立競技場問題がいまだ紛糾しています。最近では競技会場の変更などが相次ぎ、五輪開催のドタバタが続いています。そうしたスタジアムの行方も気になるところですが、ほかにも五輪に向けたインフラ整備が課題になっています。特に悩ましいのが、選手村や競技会場が集中する東京臨海部の交通網の整備です。 9月15日、東京都は臨海部で運行するBRTの運行事業者を京成バスに決めました。11月19日には、基本協定が締結されています。 今後は、運行事業者の京成バスのほか、東京都や関連する江東区や千代田区といった自治体、国土交通省、警視庁、都市開発を担う民間事業者、大学教授などの有識者で組織されるBRT協議会でBRTの整備・運行方針が話し合われます。 五輪開幕前の2019年までに、東京都はBRTの運行開始を目指しています。臨海部に新しい公共交通をつくるにしても、地下鉄やゆりかもめの延伸といったことも考えられますが、どうしてBRTだったのでしょうか? 「東京オリンピックにむけて、臨海部に公共交通を整備する必要性がありました。そこで、都心と臨海部を結ぶ公共交通の事業計画案を公募したのです。すると、参加した7事業者すべてが新しい公共交通機関としてBRTを提案してきました。BRTは鉄道のように新たに線路を建設する必要がなく、初期コストを安く済ませるメリットがあります。それらを踏まえて、東京都は都心部と臨海部を結ぶ公共交通としてBRTを選択したのです」(東京都都市整備局交通計画課)