「本気で向き合うものに巡り合えた」チアダンスコーチ・豊田典子が語るダンスへの思いと日々を支える食習慣
――インストラクター復帰に向けては? 長女が4歳になった時、幼稚園のママ友数人の頼まれて、月に1回だけ区民センターで教えるようになりました。娘の成長とともに同じような依頼を受けることがあって、大会に出るほどの熱量やレベルではないですけど、子供たちを教える場をいただいています。それ以外にも「SAKURA~すてきなチアリーダーの教室」や「中目黒キッズチアダンススクール」などをプロデュースさせていただく機会に恵まれました。 長女も13歳になり、今は本気度の高い中学のダンス部に入っています。それまでは私の注意やアドバイスを煙たがっていたのに、「コーチが同じことを言っていた」とか聞く耳を持ってくれるようになった。ママからの助言ではなく、指導者からの助言として私の話を聞いてくれるようになったのは嬉しいですね。 下の娘は9歳で、バレエを中心に取り組んでいますが、私のレッスンにも友達と参加してくれています。そうやって娘たちの成長とともに少しずつ活動を広げていけたらいいと考えています。 ――ここ10年くらいの間に日本でのチアダンスの位置づけや知名度は大きく変わってきたと思いますが、いかがでしょうか? そうですね。昔は習い事のダンスと言えばバレエとジャズだったのが、今はチアも選択肢として挙がるようになったのは確かだと思います。ママ友さんも「娘の習い事はチアかバレエ」とよく言っていますし、本当に不思議な気持ちになります。 子どもたちの生活において踊ることが身近になったことが大きいと思います。動画やテレビCMでもダンスの入ったものが多いですし、人気のアーティストの方々も歌とダンスもセットなっていることは多いですよね。今の子供たちはダンスを日常的に見ているから、チアに入り込むのも早い。リズム感も動きもいいですし、頭の中で先にイメージが出来上がっているんでしょうね。 ――そういう時代の流れもあり、豊田さんの今後の活躍の場も広がりそうですね。 もう1回、チアのコーチができるかと言えば、簡単なことではないかなと思っています。私たちの頃は2回転のターンをするだけで見る人が盛り上がっていたのに、今では4回転が当たり前。チアダンスのレベルがどんどん上がっているので、ブランクのある自分がすぐにパッとできる自信は正直言ってあまりないです。でも、チアじゃなくてもダンスを教えることは続けていけると思う。とにかくやめたくないなという気持ちは強いです。 人と人のつながりを作る場所や空間を作りたいという思いもあります。子供の世界も大人の世界も複雑だと思います。私自身も大学4年の時、母が病気になって部活を休んだんです。幸いにして回復したんですけど、そういう時にダンスが支えになったのは確かです。今、レッスンに通ってくる子にもそういう難しい背景があるかもしれない。学校で発言ができなかったり、大人しかったり、学校があまり好きじゃない子でも、ダンスになれば自分を堂々と表現できるというケースもあるでしょう。 表現っていうのは、その子が本来持っているけど、表に表れていないものを見せること。ダンスをすることで気持ちが楽になったり、心が穏やかになったりするのは素敵だなと思います。そういう場所を作れたら理想的ですね。先のことは分かりませんけど、そうなっていけばいいと願っています。