「日本では前例のないものを取り入れた」義手の肘を“筋肉の電気信号“で操作する様子を公開 ⇒「攻殻機動隊の世界まであと少し」とSNS賞賛
実際にどうやって動かしているの? 気になったBuzzFeed JAPANは、導入した小原工業に話を聞いてみました。
――動画で話題になった筋電義手とはどういう物か、改めて教えてください。 「義手を動かすにはケーブルを使って操作するのですが、今回のユーザーさんは肩から両腕がないため、ケーブルを使用することができません」 「筋電とは、筋肉の屈曲と伸展により発生するプラスマイナスの2種類の電気のことで、これを利用して操作するのが筋電義手となります」 ――「日本で初めての筋電肘継手で日常生活で使える事になりました」とのことですが、どのような点で「日本初」なのか詳しく教えてください。 「手を操作する筋電義手は使われていたのですが、肘の操作を筋電でするのが日本初となるということです」 「今回の使用している筋電義手はアメリカの会社で開発したもので、それをはじめて弊社で取り入れたということになります」 「義手は80%~90%のユーザーが装飾用という動かない義手をしようしています」 ――小原工業の公式サイトでは2018年に開発メーカーと共同で、訓練を行う様子なども紹介しています。その際は肘のテストだけが行われていましたが、今回の動画では手が動く様子も紹介されていました。手も筋電によって動作させているのでしょうか? 「はい、切り替えによって、手と肘を操作することができます。手首の回旋は、顎を使って操作します」
――筋電で操作するにはコツが必要でしょうか? 力の入れ方などで近いものがあれば教えてください。 「筋電義手を使用するには訓練、リハビリテーションが必要となります」 「手首や肘を曲げたり伸ばしたりすることで、2種類の微弱な電気が発生し、それを利用して開く・閉じる等の2種類の動作を操作します」 ――筋電肘継手の導入までにかかった期間や苦労したことについて教えてください。 「約7年前にメーカーからレンタルした所からはじまりました」 「義手は公費で使用できるものなのですが、筋電肘継手は前例がなく、認可してもらうのに時間がかかりました」 ――今後も必要なユーザーに導入されていくのでしょうか? 「筋電による肘継手は今回のケースにより前例ができたので、今後使用されるケースは出てくるかもしれません」 ――SNSでは大変反響があり、応援や関心が寄せられていました。今のお気持ちを教えてください。 「今回の例がきっかけで動く義手に興味をもってもらえる方が多くなればいいと思っています。この業界は、まだまだ大きく成長できる分野と思います。多くの人に身近に感じてもらって、だれもが安心して社会活動に復帰できるようになればいいと思います」 「義肢装具業界においては、今後高齢者が増え需要があるので、よりよい環境を整えていく必要があると感じています」 ・・・・・ 取材協力:義肢装具メーカー・小原工業
BuzzFeed Japan