「木枯らし1号」が早い年の“株価のジンクス” 冬入り時期の違いは景気や株式市場にも影響
そして、分析結果から最も注目したいポイントは、木枯らし1号が吹いたのが「遅い年」は日経平均株価の騰落率が「例年並み」や「早い年」に比べて最も高いことです(5.2%)。また、上昇した年が21回となる一方で、下落した年は3回しかなかったため、88%の高確率で上昇する傾向(勝率)が見られました。 結果を整理しましょう。木枯らし1号にちなんだ株価のジンクスは「木枯らし1号」が遅く吹くほど、翌日から年末までの株価はより一層、高くなる傾向というものです。
■木枯らし1号のジンクスが起こる理由 なぜ、このようなジンクスが起こるのでしょうか。木枯らし1号が吹くのが遅いということは、それまでの間、暖かい秋が続くわけです。爽やかな秋の季節のなかではみなさんも外出しやすくなり消費も盛り上がりやすくなるでしょう。 食欲の秋、旅行の秋など、楽しみも多く、消費が増えれば景気や株価にポジティブとなります。秋の期間が長ければ、衣料品業界でも秋物の売れ行きが好調となります。秋が短いと秋物が売れず、その時期を通り越して真冬物に注目が集まってしまい、消費にも影響してしまいます。
ところで、注意点もあります。木枯らし1号が吹かなかった年はこれまで8回あるのですが、これらの11月から年末までの2カ月の日経平均株価の騰落率を平均すると、-1.2%と下落傾向でした。冬の訪れが分かりにくいと冬物の消費が盛り上がりにくいことが理由にあるのでしょう。
吉野 貴晶 :ニッセイアセットマネジメント 投資工学開発センター長