データは「資産」--さらなる価値を生み出すデータマネタイゼーション
データマネタイゼーションとは単にデータベースレコードを公に販売することではない。これは、データを管理、測定、使用する方法に取り組んで、価値と売り上げの新たな源を作り出すために用いるアプローチだ。 データは「新しい石油」ではない。石油という商品は「1回に1滴ずつ消費されるものだが、データは全く異なり、競合や枯渇がなく、生成を促進する資産だ。すなわち、同時に、継続的に、複数の方法で使用することができる」とLaney氏は語る。 埋もれているデータは収益化の有力候補。Laney氏は、古そうなデータや使用済みと思えるデータに価値が残っている可能性があると述べた。 データマネタイゼーションにはさまざまな名前がある。このアプローチの呼び方は、組織によって、「データイネーブルメント、データの商用化、データ製品開発など、耳触りの良いさまざまな名前」が考えられる、とLaney氏は語る。 外部データの収益化も可能。「外部ソースからのデータも収益化できる可能性がある」とLaney氏。「外部データに注目することで、自社のデータを補完し、さらなる価値を生み出す必要がある」 データを処理して保存するビジネスパーソンやマネージャーは、データマネタイゼーションが自分の仕事に加える新たな力学を理解するという責任を負うことになった。「それは継続的、または定期的なプロセスであるべきだ」(Laney氏) 「データ資産の管理と測定は切り離せない」とLaney氏は語る。「測定できないものは管理できないし、管理していないものは収益化できない、と言われている。誰もがデジタルデータを使って多くのことをしているが、組織はその影響を測定していない。使用するデータと、その成果、すなわちビジネスプロセスや業績の改善の間にある要素を結びつけることをしていない。組織が持つ他の資産についても同様だ」 経営者は、ビジネスとの連携からアイデアの創出と優先順位付けまで、データマネタイゼーションのさまざまな取り組みを進めなければならない。それらのアイデアをテストすることもプロセスに組み入れる必要がある。最後に、営業チームとマーケティングチームにデータ資産の価値について伝える必要がある。Laney氏によると、データマネタイゼーションには間接的なものと直接的なものの2種類があるという。 間接的なデータマネタイゼーション: プロセスのパフォーマンスや効率の向上 リスクの軽減/コンプライアンスの強化 新製品の開発や新規市場の開拓 パートナー関係の構築と強化 特別な企業構造によって貸借対照表上でデータを資産化 ブランドのインデックスを公開してデータ製品/サービスを宣伝 直接的なデータマネタイゼーション: 現金以外の商業的対価を求めてデータを交換/取引 製品やサービスをデータによって強化 ブローカーやデータマーケットを通じて生データのライセンスを供与 インサイト、分析、レポートの販売 紹介/再販契約による逆方向のデータマネタイゼーション データを担保にして融資を確保 データ資産を活用する利点に疑問を抱いている人は、データ駆動型企業の評価額を見てほしい。「エンタープライズ・データ・ガバナンス・プログラム、最高データ分析責任者、最高AI責任者、高度なAIおよび分析プログラムを有する企業は、他の企業の2倍の評価を得ている」。Laney氏はこのように説明した。 「また、データの販売、データや何らかのデータ派生商品のライセンス供与を手がけるデータ製品企業は、株価純資産倍率が3倍になっている。もちろん、そうした企業は、帳簿に記載されていない資産から、より多くの価値を生み出している」 情報開示:筆者は本記事で言及したData Summitイベントで講演した。 この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。