被災地・石川県輪島市の「限定イベント」が大阪・梅田で 延期乗り越え「自分を焚きつける意味もあった」
百貨店「阪神梅田本店」(大阪市北区)の1階「食祭テラス」でおこなわれる恒例催事「にっぽん食むすび」シリーズ。今回は「輪島の食祭 輪島がいまできること」をテーマに、石川県・輪島の食にまつわるイベントが9月11日より開催されている。 【写真】#能登の酒を止めるな!…店内には試飲スペースも ■ 震災による延期を乗り越え、念願の開催 毎回テーマを設け、料理やお酒、食器などを通し日本全国にある食文化の魅力を紹介する「にっぽん食むすび」シリーズ。今回は、2024年1月に震災で甚大な被害を受けた石川県の輪島市にフォーカスし、その魅力を発信していく。 さかのぼること2007年。同百貨店の器担当者が輪島を訪れた際、200年以上の歴史を持つ「輪島キリモト」の器に惚れ込んだことをきっかけに両者の交流が生まれたという。本来は今年5月に初となる催事をおこなう予定だったが、震災のため延期せざるを得ない状況に。 石川県や北陸にまつわる催事は過去にもあったものの、輪島をテーマに大規模な催事がおこなわれるのは今回が初のこと。中心となって企画を進めた輪島キリモトの代表・桐本泰一さんは、一度は中止もよぎったものの「自分を焚きつける意味もあったと思います。ここですべてをやめてしまうと、すべてが終わるのかな。それから繋がることはないのではないか、という不安が先に立ちました」と開催に踏み切った理由を語った。 さらに、「輪島は小さな町ではありますが、四季を通じて魚介類が豊富で農作物に恵まれています。ものづくりの部分でも『輪島塗』などの漆器が今も作り続けられ、世の中に根の生えた人たちが暮らす町だと感じます」と輪島の魅力も教えてくれた。 ◇ 会場では、輪島キリモトの漆器や木工製品にくわえ、地元以外で販売をおこなうのは今回が初という「輪島朝市横丁」の肉まんや震災によって醸造が危ぶまれた「白藤酒造店」の看板商品「奥能登の白菊」をはじめとした地元からの8店にくわえ、同百貨店のスタッフや料理人・中東篤志さんによる企画ブース2店が出店する。 同催事は、阪神梅田本店の1階「食祭テラス」にて、9月11日から16日までの6日間開催される。時間は10時~夜8時。 取材・文・写真/つちだ四郎