増加に転じた貧困層と立ちすくむポスト「対テロ戦争」の開発援助
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2021年も継続した新型コロナ危機の中では、 アメリカのアフガニスタン完全撤退 に象徴されるように、疲弊度を高めた国家の政府が軍事行動を抑制しようとした傾向もあった。その一方で、 エチオピアのティグレ州をめぐる紛争 のように、連邦政府の統治の脆弱化に伴って始まった大規模紛争もあった。2021年に各地で頻発したクーデターも、中央政府の統治の脆弱化と連動していると言うこともできるだろう。 図1・図2を見てもわかるように、武力紛争発生件数でも犠牲者数でも、2010年代の後半の数値が非常に高い。あえて言えば、2018年頃の水準と比べて2021年がより高かったわけではないが、2010年代前半までの時期と比べれば、依然として極めて高い水準にある。 シリアを中心とする、中東での武力紛争が甚大な数の犠牲者を出していることと、 アフリカのサヘル地域などにおいて、テロ組織と認定できる暴力集団の活動が激しくなっている ことが、背景にある事情である。
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篠田英朗