債券は下落、雇用堅調で米長期金利上昇-日銀総裁会見への警戒も重し
(ブルームバーグ): 31日の債券相場は下落。米国の長期金利が堅調な労働関連統計を受けて上昇した流れを引き継いだ。日本銀行の植田和男総裁が金融政策決定会合後の記者会見でタカ派的な発言をすることへの警戒感も、売りにつながっている。
三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、債券相場は海外金利上昇を受けて安く始まった後、変更なしが想定される日銀会合の結果発表後にいったんじり高になり、総裁会見を控えて取引終了にかけて上値は重くなるとみている。
日銀声明文や総裁会見の焦点は、「金融・為替市場の認識と円安進行による物価への影響、『時間的な余裕がある』との発言に変化があるかどうか」だと指摘。衆議院選挙を通過したことで、追加利上げに前向きな姿勢が示されるかどうかが注目だと述べた。
今回の日銀会合についてブルームバーグが17-22日にエコノミスト53人を対象に実施した調査では、ほぼ全員が金融政策の現状維持を予想した。衆院選での与党大敗や足元の円安進行で金融政策の正常化路線に不透明感が増しており、午後3時半から行われる植田総裁の記者会見や新たな「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、今後の政策運営についてどのような見解が示されるかが焦点となる。
全国信用協同組合連合会資金運用部の山下周チーフエコノミストは、政策変更はなく展望リポートの基本的な見通しも変わらないとみられるが、「リスクバランスがインフレの方にバイアスがかかっていたのがどうなるのか注目される」と話した。
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Hidenori Yamanaka