シリア暫定首相にバシル氏 反体制派へ権限移譲 前政権の弾圧責任者追及へ
【イスタンブール時事】シリアのアサド政権を打倒した反体制派勢力は10日、ムハンマド・バシル氏を暫定首相に指名した。 シリアのメディアが伝えた。反体制派は9日、主力の「シャーム解放機構」(HTS、旧ヌスラ戦線)指導者ジャウラニ氏が前政権で首相を務めたジャラリ氏と会談したと発表。ジャラリ氏は9日、反体制派への権限移譲で合意したと明らかにしていた。 バシル氏は、反体制派が拠点とし、前政権の支配が及ばなかった北西部イドリブ県で統治を担う「シリア救国政府」を率いてきた。バシル氏によると、救国政府の閣僚がシリア新政府の省庁を引き継ぐ見通しで、新政権発足を急ぎたい考えだ。 アサド政権崩壊で中心的役割を担ったHTSはイスラム過激派の流れをくみ、国連のほか複数の国がテロ組織に指定。反体制派は一枚岩ではなく、政権移行の過程で権力争いによる混乱が生じる恐れもある。 ジャウラニ氏はまた、10日にSNSを通じ、前政権下で市民の拷問に関与した軍や治安機関の関係者の責任を追及し、手配リストを公表すると表明した。声明では「無実の人々の血が無駄になり、忘れ去られることはない」と強調。情報提供者には報奨金を与える方針で、逃亡先の国々にも身柄引き渡しを要求した。