（写真：読売新聞）

　ウクライナの隣国モルドバのロシア系住民が実効支配している「沿ドニエストル共和国」で１日、ウクライナ経由の天然ガスの供給が止まった。産業や住民の生活に影響が出始めている。 【写真】独特の形状をしたガスプロム本社ビル

　同地域の当局者は２日、「食料生産を除く全ての産業が稼働を停止した」とＳＮＳで窮状を訴えた。ロイター通信によると、ガスを利用した住民向けの暖房やお湯も１日から供給が止まっている。地元エネルギー企業はウェブサイトで、厚着をしたり、家族が１部屋に集まったりして暖を取るよう呼びかけている。

　当局によると、同地域には１０～２０日分のガスの備蓄がある。ガス火力発電所は稼働し、電気の利用は当面可能だという。今後、石炭火力発電所の稼働を進めるとしている。

　モルドバの国営ガス会社は、同地域が欧州各国からガスを輸入できるように支援する意向を示したが、市場価格での購入を条件としている。同地域はこれまで事実上、ロシアから無償でガスを輸入してきたとされる。