家計はキツイ、海外旅行費用は爆上がりで「円安ってシンプルに“悪”だよね?」と考えている人に知ってほしいこと【経済アナリスト森永康平氏が解説】
「スーパーで買い物をすると高くてしょうがない」「海外旅行の費用が以前の2倍もかかった」など、何かと悪者にされがちな「円安」。しかし、自分たちから「企業」へ目線を向けると、その印象は変わってきます。本記事では、人気経済アナリストの森永康平氏氏による著書『0からわかる!金利&為替超入門』(ソシム)から、円安・円高の基礎知識を抜粋してご紹介します。 都道府県「電気代値上がり率」ランキング…家計調査「2022年12月」前年同月比較
登場人物 森永康平…経済アナリスト。竹田と宮野に金利・為替の知識を教えてくれる。 竹田紗香…輸出企業である自動車部品メーカーに勤める会社員(20代)。出世のため仕事に打ち込む。 宮野聡…輸入企業である食品加工の企業に勤める会社員(20代)。住宅購入や投資を検討している。
円安になると輸入品が値上げされる
宮野:先生、円安・円高は、立場などによって受ける影響が違うんでしたよね。円安になったときの生活への影響を知りたいです! 森永:最初に挙げられるのは、輸入品の値上げです。特に、日本はガソリンなどの資源をほとんど輸入に頼っているため、燃料代への影響は顕著です。 宮野:確かに、すぐ値上がりしますね……。 森永:また、原材料が輸入品であれば円安の影響を受けます。例えば、小麦やトウモロコシの多くは輸入品です。実際に価格転嫁されるまでには時間がかかりますが、円安の影響が長引けば値上げは避けられません。 竹田:事前に円安の対策はできますか? 森永:事前に外貨の資産を持っておくなどすると、円安の影響を軽減できますよ。
円高になれば海外旅行がお得になる
竹田:円安で商品が値上がりするということは、円高になれば商品は値下げされるんでしょうか? 森永:その通りです。円高になれば輸入のコストが少なくて済むため、値下げを行いやすくなります。ただし、企業ごとの損益状況なども加味されるので、実際に値下げされるかは企業の判断によります。 竹田:それでも、値上げが続くよりはいいですね。 森永:円高になれば有利なレートで円を外貨に両替できるため、海外旅行がお得になったりもしますよ。 宮野:円高になればいいことだらけなんですね!はやく円高になってほしいです。 森永:消費者の目線から見ると円高は嬉しいですよね。ただし、企業の目線から見ると「円安がだめ」「円高がいい」とはいい切れません。