家計はキツイ、海外旅行費用は爆上がりで「円安ってシンプルに“悪”だよね?」と考えている人に知ってほしいこと【経済アナリスト森永康平氏が解説】
円安で得をするのは輸出を中心に行う企業
森永:今度は企業の目線で円高・円安を見てみましょう。円安のとき、輸入コストがかさんで利益が伸びづらくなる企業もありますが、得をする企業もあります。 竹田:私の勤め先は、円安の影響で業績が伸びました! 森永:竹田さんの勤め先は輸出を中心に行う企業だからですね。円安では、外貨を円にしたときお得になります。さらに、外国から見ると日本に旅行しやすくなるため、インバウンド産業にとっても利益になります。 宮野:そうだったんですね! 森永:そして、国の経済力を示すGDPにもメリットがあります。GDPの計算には輸出額が含まれるのですが、円安によって輸出額が増加するためGDPが押し上げられます。ただし、過度な円安によって、世界のGDPランキングで日本の順位が下がるなど、悪影響もあります。
円高で得をするのは輸入を中心に行う企業
竹田:輸出企業は円安で得をしますが、反対に円高で得をするのはどんな企業ですか? 森永:海外の商品を輸入する企業です。円換算をしたときに価格が低く算出されるので、コストが低くて済み、業績が伸びやすいのです。 宮野:そういえば、業績が伸びた企業は株価が上がりやすいって聞いたことがあります。円高のときに輸入企業の株を買えば儲けられるんでしょうか? 森永:考え方は悪くないですが、うまくいくとは限りません。多くの企業は、為替の影響によるダメージを抑えるため、為替ヘッジなどで為替変動の対策を行っています。円安のダメージが軽減される代わりに、円高のメリットも小さくなることがあります。 宮野:なるほど。円高だから必ず儲かるとは限らないんですね。 イラスト ©平松慶 森永 康平 株式会社マネネCEO、経済アナリスト ※本記事は『0からわかる!金利&為替超入門』(ソシム)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
森永 康平