セブン、検討続く買収提案-カナダ社傘下でも日本式コンビニ続くか
セブン株は10日の取引で続落し、一時前日比2.5%安の2315.5円を付けた。9日夕方に開いた決算説明会での買収提案の検討状況に関する新情報は少なかったとの声がアナリストからは上がった。
外資と敬遠せず
小売業界に詳しいUBS証券の風早隆弘シニアアナリストは、現在提供されているサービスは維持されるべきだが、クシュタールが買収後に日本のコンビニ事業のテコ入れをするとは考えづらいと見る。
小売り大手が同業の外資に買収された例として、スーパーの西友がある。2008年に米ウォルマートの完全子会社となった。現在西友の米KKRが85%、ウォルマートが15%の株式を保有する。
風早氏によると、当時の西友は安売りとは一線を画す存在だったが、ウォルマート傘下に入って格安路線が導入され、現場は大きく混乱した。ただ、経営が傾いた西友をウォルマートが救済した意味合いが強く、今回の場合、西友と同じ道をたどる可能性は低い。
風早氏は「外資に買収されると無理な方針転換を迫られるイメージがあるかもしれないが、セブンーイレブンは既に屈指の競争力を持つ企業だ。この場合、クシュタールにとっては日本のコンビニ事業に手を付けずに見守ることが重要になる」と指摘する。
これまでに70件を超える買収をしてきたクシュタールは小売業を地域の特性に合わせて展開する重要性を熟知していると風早氏は指摘する。同じ看板でも店舗やエリアごとに経営者が異なる日本のフランチャイズ形式に知見がなく、自ら手を出すことが得策と考える可能性は低いと見る。
創業者で会長のアレイン・ブシャード氏は昨年10月のブルームバーグのインタビューで、買収が成立しても人員やビジネスモデルを変えることはないと強調している。日本のコンビニ事業は年間2000億円超の純利益を稼ぐ。豊富な資金を生み出す存在として尊重されそうだ。
風早氏は「外資というだけで敬遠せず、相手をよく見ることで公平に検討できることもある」と述べた。