中日の谷繁監督がキャッチャー杉山を公開説教&懲罰交代
ヤクルトの“トリプルスリー”山田に好きなように打たれた。 レギュラーシーズンの再開となった24日のヤクルトー中日戦(神宮)で“公開説教”があった。3回の守備が終わると、谷繁監督は4年目の杉山翔大(25)をベンチで立たせた。 公開説教。杉山は、直立不動で、谷繁監督の話に耳を傾けた。谷繁監督が説いたのは、おそらく山田に対してのリードである。 初回に二死三塁でカウント2-2から外のストレート。インサイドを攻めていなかったので山田に狙われていた。2試合連続の24号の先制2ラン。 3回には、無死二、三塁で、再び山田。第1打席の配球に反省があったのか。今度はインサイドのボールを3球続けて、カウント0-2と追い込みながらも、その3球目をレフト線に持っていかれた。同じボールを3球も続ければ対応されるのが、プロのセオリー。山田対策を万全に用意してきたはずだが、カウントを整えておきながら、あまりに迂闊なリードだった。しかも状況は、どちらも一塁ベースは空いていたのだ。封じねばならない4番に打たれば、ゲームの主導権を奪われるのも無理がなかった。 鉄は熱いうちに打てが原則。 名キャッチャーとして、配球の妙で勝ちを拾ってきた谷繁監督にしてみれば、“頭を使っていないリード”で、防ぐことのできる失点をしてしまっているのが我慢ならない。 「(リードが)いきあたりばったり。どう打ち取ろうとしているのか、まったく意図が考えられない。準備ができていない」 指揮官としては、そこを鍛えていくことが、チーム強化の土台になることを実感しているのだ。 谷繁監督は、懲罰交代で杉山をベンチへ下げた。 代わりに4回からマスクをかぶったのが、横浜、西武と渡り歩き移籍3年目、プロ14年目のベテラン武山真吾(32)。すると武山は、目先を変える緩いボールなどをうまく使って、4回以降は、若松、福、武藤、祖父江とつなぐ5イニングを無失点にまとめてみせた。それはそれで収穫だったが、カードの初戦でヤクルトの乗っている4番打者、山田を打たせてしまっていては、残り2試合の配球に影響を及ぼす。下位チームにインサイドワークのミスで星を落としては広島追撃もままならないだろう。 「監督からは、いろんな考え方があるんじゃないか? といわれました。もっと注意深くリードをすれば結果は変わっていたと思います」 反省した杉山も試合後は肩を落とした。 今季は3年目の桂依央利(24)と共にツープラトンで捕手起用されてきた。49試合で打率.267、1本、16打点の数字を残し、“成長した”という評価を受けていたが、まだまだ甘さがある。 谷繁監督の公開説教は、今や中日の名物のようになってしまったが、プロとしてみっともない姿であることも確か。だが元ヤクルトの名捕手、古田敦也氏も、当時の野村克也監督の公開説教を受けながら大きく成長した。谷繁監督の公開説教は、ノムさんの姿にも重なる。若手捕手を育成するための糧となれば、この1敗も意味はある。