アマゾンは例外。テック業界ではハイブリッド型が定着…最新の調査で（海外）
人材獲得競争
スタンフォード大学の経済学者、ニコラス・ブルーム（Nicholas Bloom）が1万7087人の労働者を対象に行った調査によると、彼らは週に2日か3日在宅勤務をする権利を、8%の昇給と同じくらい価値があると考えていた。 アマゾンやデルで厳しいオフィス復帰義務を課された従業員は、この新ルールに従いたくないと声高に主張している。デルでは、在宅勤務を続けることを選択して昇進を断念した従業員もいる。 このような状況では、ハイブリッド勤務の方針を採用する大手テック企業が、優秀な人材の採用と維持の点で有利になるだろう。 リモートワーク研究の世界的権威であるブルームは、他の大手テック企業がアマゾンのオフィス復帰義務に追随することはないだろうと語っている。 「ハイブリッド勤務は利点が大きすぎて放棄することはできない。ハイブリッドはフルタイムで出社するスタイルと同程度に効率的であることを示す証拠もあり、人材の採用と維持の面ではハイブリッドの方が優れている」 またブルームによると、従業員にフルタイム出社を強制すると離職率が高まり、企業にとってコストがかかる可能性があるという。 テック業界では、特に優秀なAI研究者をめぐって熾烈な人材争奪戦が繰り広げられている。ウォール・ストリート・ジャーナルが5月に報じたところによると、グーグル（Google）は、AIチャットサービスを提供するスタートアップ、character.ai創業者でAI科学者のノーム・シェイザー（Noam Shazeer）を呼び戻すことを主な目的とした契約に27億ドル（約4000億円）を投じた。 欧州復興開発銀行のリサーチ担当アソシエイトディレクターで、キングス・カレッジ・ロンドンの経済学准教授でもあるジェヴァト・アクソイ（Cevat Aksoy）がBusiness Insiderに語ったところによると、かなりの割合の労働者が在宅勤務を高く評価していることが、調査で明らかになった。多くの人が、フルタイムのオフィス復帰を命じられた場合、退職するか新しい職を探す意向を示した。 「完全なオフィス復帰方針を採用している企業は、人材の確保という課題に直面する可能性がある」とアクソイは言う。 「労働者は柔軟性の高い働き方を求めていることから、ハイブリッド勤務は優秀な人材を引き付ける競争力を維持したい企業にとって、今後も重要なツールであり続けるだろう」 しかし、週5日の出社を支持する人もいる。2000年初頭にアマゾンの幹部だったジョン・ロスマン（John Rossman）は、同社のRTOへの取り組みは「成長を再び加速させる」ための正しい動きだとBusiness Insiderに語った。
生産性が落ちたら見直しも
昨年来、テック企業はリモートワーカーに対して厳しい姿勢を見せており、タイムカードをチェックし、ルールに従わない者を罰している。 エヌビディア（NVIDIA）など一部の大企業はハイブリッド勤務の採用を見送っているが、ほとんどの大手テック企業は何らかのハイブリッドを取り入れている。
Beatrice Nolan
