鉱山の超大型ダンプ「フル電動化」実現のために応用された「鉄道の技術」
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二酸化炭素の排出量をどう削減するか
日立建機はマイニング(鉱山の採掘)事業において、カーボンニュートラルに貢献するための画期的な製品を開発した。鉱山で使用される、タイヤの直径が3mものダンプトラックのフル電動化が注目を集める。 「ダンプトラックは従来2000馬力級のディーゼルエンジンを積んでいますが、将来的にはこのエンジンをなくしてしまい、大型のバッテリーに置き換えて、モーターを駆動させようとしています。ただ、充電ステーションのような定置式だと、充電する際にダンプトラックが停車する時間ができてしまいます。 そこで、私たちが進めているのは、電車と同じトロリー式の充電方式です。これなら日立の持つ鉄道の技術も応用できます。鉱山の敷地内に架線を張り、ダンプトラック側にはパンタグラフを搭載する。電車のように架線に沿って走行することで、稼働しながら充電することができるという仕組みを構想しています。これは同じルートを走る鉱山現場だからできることです」(日立建機広報・IR部長・小俣貴之氏) このフル電動ダンプトラックはすでに開発を終えており、アフリカのザンビアにある銅の鉱山で実証実験を行う見通しだ。 「鉱山の現場で最も二酸化炭素を排出しているのはダンプトラックという現実があります。そのダンプトラックを電動化できれば二酸化炭素の排出量を抑制できると、世界中の顧客から注目を集めています」(小俣氏) 【ものづくり・ニッポンの復活】(8)『ブロッコリーを「マイナー野菜」から日本の食卓に定着させた「陰の立役者」』ヘ続く 「週刊現代」2024年5月18・25日合併号より
週刊現代(講談社)