2024年版 使い勝手バツグンで「走り」も良い欧州ミニバン 10選 合理的で快適な1台
奥深い欧州ミニバンの魅力を紹介
室内の広さ、使いやすさ、乗り心地、走行性能などさまざまな観点から特に優れた欧州ミニバンを10台紹介する。 【写真】欧州市場にレクサスの「超高級ミニバン」上陸!【レクサスLM(英国仕様)を写真でじっくり見る】 (31枚) 日本ではファミリーカーとして定番のミニバンだが、実は欧州や北米などでは存在感が薄い。例えば米国では、トヨタ・シエナやホンダ・オデッセイを含め4車種程度しか販売されておらず、SUVが圧倒的に人気だ。 欧州でも「ミニバン=商用車」のイメージが強いようで、近年ファミリーカーの主流となっているのはやはりSUVだ。ここ数年でフォードSマックス、フォード・ギャラクシー、フォルクスワーゲン・シャランなど数え上げればきりがないほどの車種が姿を消した。 しかし、トレンドから外れてしまったとはいえ、欧州ではまだまだ面白いミニバンが多く販売されている。特に実用性においては、人と荷物の運搬を最優先した、合理的で考え抜かれたミニバンのデザインに勝るものはない。 見た目や走行性能にこだわったモデルもあれば、商用車ベースで徹底的に実用主義のモデルもある。 今回は、日本ではあまり注目されない欧州のミニバンを取り上げたい。
1. ダチア・ジョガー
長所:抜群なコストパフォーマンス、サイズの割に多用途で実用的 短所:パワートレインがラフで緩慢なところがある、選べるエンジンが少ない 「生活費の高騰」は、欧州でも多くの家庭を苦しめている。だからこそダチア・ジョガーの存在は大きい。1万5000ポンド(約300万円)以下で購入できる7人乗りの本格的なファミリーカーで、まさに現代に求められるクルマと言えるだろう。 魅力は価格だけにとどまらない。ジョガーは、ルーマニアの自動車メーカーでルノー・グループ傘下のダチアが最近投入したばかりのニューモデル。最先端のハイテクなマシンというわけではないが、子連れファミリーが必要とするすべての要素が備わっている。 大人5人と子供2人が乗れるスペースがあり、後部座席は簡単に折りたためるので荷物の積み込みもしやすい。競合他社からはもっと高性能で速く、最新技術を満載したモデルも出ているが、ジョガーに乗ればそのような "余分なもの" は一切必要なく、むしろ無い方がいいとすら思える。 ルノー・クリオ(日本名:ルーテシア)とプラットフォームを共通化しており、最高出力110psの1.0L 3気筒ガソリンエンジンを搭載する。このエンジンはとても倹約家で、中速域で適度なトルクを発揮しつつ、ギア比の高いトップギアによって快適な長距離ドライブを実現する。7人乗車時ではどうしてもパワー不足感が否めないが、周囲の交通の流れに乗ることはできる。 また、1.6Lガソリンエンジンをベースにした最高出力140psのハイブリッド車(基本的にはルノーのEテック・システム)も選択できる。燃費やパワーはやや改善されるが、実際には1.0Lガソリン車と比べて「やや速く、やや低燃費」といった程度なので、特にこだわりがなければ1.0Lをおすすめしたい。 乗り心地とハンドリングは期待通りの性能で、ロングストロークのサスペンションが路面の凹凸を吸収してくれる。ステアリングは正確で、コーナリングを攻めるとコミカルなまでにボディロールが発生するものの、路面には粘り強くしがみつく。東欧ルーマニアの低価格ブランドではあるが、ゆったりとした牧歌的な雰囲気はルノーを思わせる。 インテリアは寂しいもので、下位グレードだとスクリーンやオーディオなどは省略され、ナビ用にスマートフォンホルダーが装着されているだけだ。しかし、上位グレードにはタッチスクリーンと純正ナビが標準装備され、さらに自転車やルーフボックスの運搬に便利なルーフバーもある。 ここ10年以上、低迷する欧州ミニバンクラスを若返らせるような新型車はなかった。しかし、ジョガーは新しい風を吹かせている。このようなクルマが増えることを願いたい。