長時間労働を削減するには?原因と対策についてプロが解説
長時間労働することで生じるリスクとは
長時間労働にはどのようなリスクがあるのでしょうか。起こり得る問題やトラブルを挙げてみましょう。 ◇精神的疲労・ストレスの蓄積 長時間労働が続くとストレスが蓄積し、精神的な疲労を招きます。うつ病へと進行することもあります。精神疾患は労災認定の対象となっており、長時間労働はその原因の一つとなり得るでしょう。 ◇生産性の低下 労働時間が長びけば集中力が低下し、仕事がはかどらなくなることもあります。生産性が低下して仕事が終わらない、成果が挙がらないとなれば、それを補うために新たな残業が発生することにもなりかねず、悪循環に陥ってしまいます。 ◇プライベートへのマイナス影響 労働時間が長い分、プライベートの活動に時間を費やすことができません。趣味を楽しめなければストレスが増幅するほか、家族や友人と過ごす時間をとれず、人間関係にも支障をきたす恐れがあります。 ◇突然死・過労死のリスク 長時間労働は身体的負担も大きく、脳血管疾患や急性心筋梗塞などのリスクが高まるとする調査データもあります。最悪の場合、突然死・過労死に至るケースもあります。 ◇「疲労度」をセルフチェックしてみよう 厚生労働省は、労働者の仕事による疲労蓄積を自覚症状と勤務の状況から判定する「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」を提供しています。長時間労働を自覚している方は、自身の疲労蓄積度をチェックしてみてはいかがでしょうか。
長時間労働を避けるための対策
現状の長時間労働を改善するため、また、長時間労働にならないようにするため、働く人自身ができる対策・工夫をご紹介します。 ◇業務の見直しを上司に相談する 現在の担当業務量が適切ではないと感じるなら、上司に業務の見直しを相談しましょう。ただし、「業務量が多すぎる」「業務量を減らしてほしい」と訴えるだけでは取り合ってもらえない可能性もあります。 「○○業務に*時間」「△△業務に*時間」など、業務ごとにかかる時間を細かく算出し、規定の労働時間では収まらないことを可視化して伝えてはいかがでしょうか。 データとして示すことで、どの業務に問題があるのかも判断しやすくなり、他のメンバーに業務の一部を割り振るなどの対策も講じやすくなるでしょう。 ◇人事部に相談し、増員を検討してもらう 上司が対応してくれない場合は、人事部に相談してみましょう。「異動によってメンバーを増員する」「社員・派遣スタッフ・アルバイトスタッフなどを新規採用する」といった施策は人事部門が主導することも多いため、人員計画で考慮してもらえる可能性があります。 ◇新たな手法やツールを導入し、業務効率化を図る 業務の効率化によって、労働時間を削減できる可能性があります。既存のやり方・進め方に縛られず、効率化できる手法を調べたり学んだりして、取り入れてみることをおすすめします。 業務支援ツールにもさまざまな種類がありますので、自社に合いそうなツールを探し、導入を提案してみるのも一つの手です。会社としても「生産性アップ」は取り組むべき課題であることが多いはず。中長期的に見てメリットが高いと判断されれば、予算を確保して導入してもらえるかもしれません。 ◇「在宅勤務」を取り入れる 会社に「在宅勤務制度」「テレワーク制度」「リモートワーク制度」などがあれば、積極的に活用しましょう。労働時間を減らすことは難しくても、通勤時間を減らすことで精神的・身体的疲労を軽減できます。 出社が必要な仕事であっても、事務作業などを1日にまとめるなどすれば、週1日でも在宅勤務で対応できる可能性があります。現状、在宅勤務制度がなくても、「生産性アップのために」として上司と交渉してみてはいかがでしょうか。 ◇「副業・兼業」は時期や量を調整する 最近、副業・兼業をする人が増えています。本業が忙しいのに副業もすることで長時間労働となり、疲弊してしまうケースが見られるようになってきました。副業をしたいのであれば、本業の状況を踏まえ、時期や量を適切にコントロールするようにしましょう。