警察は法にのっとり内乱罪を捜査し、尹大統領は法にのっとり応じよ【1月8日付社説】
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する逮捕状の執行に高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が失敗して以降、公捜処の捜査権問題や手続き上の問題が相次いで浮上し、捜査全般が揺らいでいる。揚げ句の果てに公捜処は尹大統領の逮捕状執行を警察に押し付けようとしたが、警察が拒否して撤回する事態まで発生した。公捜処は逮捕状を再び請求したが、尹大統領側は「公捜処を捜査機関として認めない」として、執行に応じないとの見解を繰り返し表明している。そうした中、警察は逮捕状の執行に警察特攻隊を投入する案も検討しているという。このため、まかり間違えば大統領警護処と深刻な物理的衝突が起こるのではないかと懸念されている状況だ。 【図】大統領官邸周辺の鉄条網と人間バリケード
こうした混乱は全て、関連機関が法の規定を外れて行動しているために起こったものだ。法律上、内乱罪の捜査権を持っているのは警察だけだ。解釈や異論の余地はない。それにもかかわらず、捜査の序盤に権限もない検察と公捜処が競い合うようにして捜査に飛び入ってきた。検察と公捜処は「尹大統領の職権乱用容疑を捜査する中で関与犯罪として内乱罪も併せて捜査できる」と言っているが、小さな容疑を利用して大きな容疑を捜査するという本末転倒の強引な論理だ。法的捜査権限を持つ警察は、遅ればせながら公捜処、そして国防部と共に共助捜査本部を作ったが、これは法外機関に過ぎない。 公捜処の捜査手続きと行動も議論を招いた。現職大統領を捜査するに当たり、捜査方法や時期なども調整せずに、一方的に召喚を3回通知し、応じないと逮捕状を請求した。国会議員の捜査でもこのようなやり方はしない。ひそかに進めなければならない逮捕状請求も、中継放送でもするかのようにメディアに告知した。これは捜査ではなく、政治に近い。尹大統領の逮捕状も、管轄の裁判所ではなくソウル西部地裁に請求し「判事と組んでやったのでは」という疑惑を招いた。事実、判事は勝手に「刑事訴訟法の条項を尹大統領逮捕時には適用するな」という荒唐無稽な判断まで付け加えた。これでは判事ではなく政治家だ。 だが、逮捕状執行が阻止されると、警察に執行を押し付けようとして失敗した。 このような状況で公捜処が捜査を続ければ、騒動は広がるしかないし、実際に捜査にならないだろう。今後の捜査や裁判過程でも捜査の適法性に対する問題が浮上すると思われる。これを防ぐには、公捜処が捜査から手を引き、内乱罪の捜査権がある警察だけが捜査することだ。尹大統領側は「適法な捜査機関で捜査すれば応じる」と言っている。尹大統領もその約束を守らなければならない。