大学卒業後に渡独→理学療法士の専門学校へ… ドイツ古豪ボルシアMGで働く日本人メディカルスタッフが歩んできた道とは?
具体的にボルシアMGではどのようなセクションで、どのような仕事をしているのだろうか。 「僕が今やってるのはクラブの育成選手をメインに見ています。ボルシアMGのスタジアムのすぐ横にあって、クラブが持ってる治療院という形です。トップチームの選手も来たりしますし、一般の患者さんもリハビリでうちを利用できます。あと他クラブや他スポーツの選手が治療で来ることもよくありますよ。 僕の担当は育成の選手で、特にU-15~U-19の選手が怪我したら来てもらって、ここでリハビリをしてもらうという感じです。育成の選手でもいつでもリハビリができますよっていう環境が整っています」 クラブではケガに応じて対応が細かく分かれているという。ピッチでケガをした場合、まず軽めだったらチーム専属の理学療法士がそのまま対応する。筋肉系など、時間がかかりそうな中度の怪我の場合は、菊地らの治療院でジョギングできるぐらいまでリハビリを行う。 そしてジョギングできるまで治ってきたら、育成専属リハビリトレーナーのもとで約4週間トレーニングをしてから、チームへ戻すという3段階構成だ。 選手は負傷と常に隣り合わせだからこそ、適切な治療と対応が欠かせない。どれだけ資質があっても負傷を抱えたままではパフォーマンスは最大限に発揮できないのだ。理学療法士をやってて、どんな時に充実感を感じるのかを菊池に尋ねてみた。 「充実感があるのはやっぱり患者さんから『痛みがなくなった』といってもらえる時ですね。うれしいし、やりがいも感じます。あと復帰した選手が活躍するというのはうれしいですね。フライブルクでアイスホッケークラブに携わっていた時の話ですけど、脳震盪を起こした選手を何週間かサポートしてたんですが、その選手が復帰して、大事な入れ替え戦の緊迫した場面で点を決めて、チームが勝ったんですね。あれはすごく感動しました。そこはスポーツチームに関われるやりがいだなと思いますね」 ドイツ屈指のサッカークラブでメディカルスタッフとして働く菊地。将来的にどんなプランを今描いているのだろう。そこにはたしかな思いがあった。 「最近はリハビリトレーナーという理学療法士とアスレティックトレーナーを結ぶポジションができてきてるので、僕もそこを目指せたらと思っています。一度はブンデスリーガクラブのトップチームでやりたいですね。でも最終的な目標としては、育成年代をみたいんですよね。だから一度トップチームでやりたいというのがあります。そこの現場を自分で見とかないと、育成で何も言えないなって。ドイツでも日本でもどこでもいいんですけど、育成年代で怪我をしないための体作りとか、怪我をしてしまう過程とか、怪我をした後の治療や措置というのをしっかりと学んでもらえれば、大人になってそれこそプロの選手なったときに大きなメリットになると思うんです。そこを目指したいですね」 取材・文●中野吉之伴
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