「匿名性保障せず女性と赤ちゃん救えるか」慈恵病院が“ゆりかご”巡り質問状 専門部会に猛反発 熊本
熊本放送
こうのとりのゆりかごを巡り「実の親が最後まで匿名を貫くのは認められない」とする報告書をまとめた熊本市の専門部会などに対し、激しく反発する熊本市西区の慈恵病院が公開質問状を出しました。 【画像を見る】専門部会・慈恵病院それぞれの主張 ■専門部会「最後まで匿名を貫くことは容認できない」 熊本市の慈恵病院が運営する「こうのとりのゆりかご」について、市の専門部会は6月5日に過去3年間の検証結果を市に提出しました。 こうのとりのゆりかご専門部会 安部計彦 部会長 「預け入れ者を匿名にすることと、子どもの出自を明らかにすることは矛盾しない」 ゆりかごに預けられた子の「出自を知る権利」と親の匿名性をどう守るかについてこのように述べ、「最後まで匿名を貫くことは容認できない」と報告書に明記しました。 ■慈恵病院「専門部会の方針では女性たちは応じない」 これに対し、慈恵病院の蓮田健(はすだ たけし)院長は激しく反発しました。 慈恵病院 蓮田健 院長 「現実を見ていない方々の机上の空論であると、私は思っています」 きょう(6月19日)熊本市に公開質問状を提出した蓮田院長は、報告書の内容を知った女性が匿名性の保障に不信感を抱き、ゆりかごの扉の前で混乱したケースがあったと明かしました。 蓮田院長「匿名性を保障せずに女性と赤ちゃんを救うことができるのか。専門部会の方針では女性たちは応じません」 そのため、公開質問状では改めて匿名であるべきと訴え、女性に混乱を招いた責任などについても見解を要求しました。 ■対立の理由とそれぞれの主張 なぜ今になって専門部会と病院で対立が起きたのでしょうか。 ゆりかごは今年で設置から17年を迎え、預けられた子どもが大きくなり、どう生まれ育ったかを知る「出自を知る権利」が課題になっていることが背景にあります。 さまざまな事情で、実の親の中には匿名でなければ預けられない人も多くいます。そこで専門部会は「最初は匿名でも、秘密を守る仕組みを作ったうえで名前を名乗れば、どちらの立場も守れる」としています。