「ドアヒンジ」から見えるドア事情 あなたのクルマのドアヒンジは形鋼? プレス成形? プリウス、ランドクルーザー250、新型クラウンセダン、日産GT-R、メルセデスAMG SLまで35モデル
おそらく、普段しげしげと見たことはない部品、それがドアヒンジだ。しかし、ドアの開閉、精度を左右する重要部品である。次に自分のクルマのドアを開けたとき、ぜひドアヒンジに注目していただきたい。国産・インポート全35モデルのドアヒンジをどうぞ。 この写真、なんだかおわかりになるだろうか? と言ってもタイトルに書いてあるから、これがドアヒンジだというのは、なんとなくおわかりになると思う。 このドアヒンジは、VWゴルフ(ゴルフ7)のものだ。欧米車の主流である形鋼ヒンジだ。 では、こちらは? スバルWRXのドアヒンジ 国産車の場合は、ボディ側・ドア側ふたつのプレス成形した枠に軸を差し込んで上下からカシメる構造だ。欧州車は、鍛造、もしくは鋼材からの削り出しで成形し、片持ちの軸部にドア側を上部から差し込む「リフトオフ」という手法を採ることが多い。 プレスヒンジと形鋼ヒンジ リフトオフが求められる理由 国産勢のプレスカシメ、欧米勢の形鋼or鍛造という違いは製造の初期段階まで遡る。元々欧州ではヒンジをボルト締めではなくボディに溶接していたのに対し、日本では鋳物をねじ留めしていたことが、今に至るまで違いに表れているという。
リフトオフ式3種の構造
軽量化は現代の自動車の優先開発テーマだから、ドアヒンジといえどもその例外ではない。またドアの形が複雑になる傾向があるので、ヒンジの場所取りも厳しくなってきている。その意味でも形鋼ヒンジが有利だという。 ヒンジ自体の部品としてのコストは、形鋼ヒンジの方が高い。しかし、ドアの組み付け工程を考えると、プレスヒンジと形鋼ヒンジのコスト差は大きくないという。 ヒンジ部品だけで、ドアの優劣が決まるわけではない。が、そこから見えてくる背景もある。また、ドアヒンジにもじつにさまざまなノウハウと特許があるという。 では、国産・輸入車のドアヒンジ図鑑をご覧下さい。とくに注意書きがない場合は、右フロントドアの上のドアヒンジである。