チャンピオンになった小椋藍をはじめ、世界で日本人ライダーが活躍していることをもっともっと知っていただきたい
黒船襲来、DUCATI Team KAGAYAMAの水野涼が話題を振りまく
2024年の全日本ロードレース選手権もいろいろなことがありました。JSB1000クラスは、DUCATI Team KAGAYAMAの水野涼がドゥカティワークスマシンで参戦する話題から始まり、これを迎え撃つヤマハファクトリーの中須賀克行と岡本裕生との戦いになりました。水野の走りが起爆剤となり、ヤマハファクトリー3年目の岡本の成長、絶対王者・中須賀の意地がぶつかり合い、毎戦コースレコードを更新するレベルの高いレースを繰り広げました。この3人以外で表彰台に上がったのは、第6戦オートポリスレース2・3位の高橋巧と最終戦鈴鹿レース2・2位の野左根航汰のみと、3人が、いかに突出していたのかが分かるでしょう。 最後はヤマハファクトリーのチームメイト同士のタイトル争いとなり、これを岡本が制しました。岡本は、来シーズンよりスーパースポーツ世界選手権(WSS)にフルエントリーします。何でワールドスーパーバイクじゃないのかという意見もあると思いますが、現状シートの空きはなかったですし、ちょうどYZF-R9がWSSにデビューするのでタイミングとしてはよかったかもしれませんね。初テストの感想は「意外に速い」でした。年明け、1月13日に渡欧しテストに参加。アッという間に、2月21日-23日のオーストラリア・フィリップアイランドの開幕戦を迎えます。ぜひ結果を残してSBKへのステップアップを果たしてもらいたいものです。 ──絶対王者・中須賀を破りチャンピオンとなった岡本裕生。表彰式ではスピーチすることを聞いていなかったそうだが、堂々と新チャンピオンとして務めを果たしていた。2025年はR9でスーパースポーツ世界選手権(WSS)にフルエントリーする。
Moto3で活躍中の古里太陽を久しぶりに取材する機会がありました。それこそ全日本J-GP3では現場で見ていましたが、ここ数年、日本GPの仕事は写真が主だったこともあり、最後に話を聞いたのはMoto3フル参戦を開始する2022年シーズンの開幕直前でした。このときは、電話取材で太陽は、お母さんの運転で移動中だったのですが、その最中に一時停止違反で警察に止められてしまっていました。大丈夫? と言いつつも、こちらも、この機会を逃すといつ(太陽を)捕まえられるか分からないので、そのまま話しを聞かせてもらって以来でした。覚えてくれている? と聞くと「もう全日本のころのことは覚えていないんですよ」と太陽。電話取材の件を話すと思い出してくれましたが、15歳から19歳になり、世界を3シーズンも戦った太陽は、大きく成長していました。 2024年シーズンは、3度の表彰台を含むランキング10位と日本人ライダーでは最高位の成績を残しましたが、初優勝まで、あと一歩というレースもありましたし、シーズン中盤にはモトクロストレーニングでの負傷の影響で欠場もありました。 「もっと上位に行けたはずだったのですが、自分自身のミスもありました。結果的にランキング10位でしたけれど、ランキング5、6位には行けたと思うので、内容的によくないシーズンでした」 KTM勢に対し、Honda勢は劣勢を否めない状況ながら、常にトップグループにつける走りは大きく評価を上げています。所属するIDEMITSU Honda Team ASIAは育成チームでもあるため、4年目となる2025年は、ラストシーズンとなるでしょう。Moto2に上がるか、他チームに移籍するか、その先のチャンスをつかむためにも結果を残さなければならないシーズンになります。 「やっぱり目標は一番しかないですね。いいスタートを決めて、まずは初優勝を目指します」と最後に来シーズンの抱負を語ってくれました。早くも4年目のシーズン、7月には20歳となる太陽に期待しましょう。 ──世界という舞台で揉まれ、芯のある強いレーシングライダーに成長した古里太陽。来シーズンも楽しみな存在だ。