プロ野球トライアウトの次に待ち受けるセカンドキャリアの壁
NPBが、毎年、若手選手に聞き取り調査を行っているセカンドキャリアに関するアンケートの今年1月の発表分では、引退後の進路として「やってみたい」と「興味がある」にマークされた1位は「資格回復し高校野球指導者」、2位は「大学社会人の野球指導者」だったが、3位には昨年7位だった「一般企業の会社員」が浮上した。球団職員の待遇面や、アマチュア指導者への道が狭き門である現実を知る選手が増え、セカンドキャリアに対する考え方には変化が現れている。 実際、川口さんは、今回のトライアウトに参加した選手の何人かの再就職の相談に乗っているが、球団側から提示された職員への道に躊躇している選手もいるという。 一方、ここ数年の傾向として、一般企業側はひとつのことを成し遂げた元プロ野球選手という人材に注目をしていて、受け入れ先は増える傾向にあるという。例えば、セノンという警備会社では、土日に野球教室、その他の3日は、会社の人事部所属のリクルーターとして人材募集の窓口となる役職を元プロ野球選手に求めて門戸を開いている。 しかし、一般企業の場合も、入社してからもうひとつの壁がある。社会に対応できない、もしくは、企業側の環境にも問題があって長続きせず、また転職を繰り返すというサードキャリアの問題だ。 「プロ野球選手の中には、社会常識がなく、社会への対応力がないまま会社員となって、思い悩む人も少なくありません。プライドが邪魔をするんです。最近では1000万円以上の貯蓄を持っている選手が増え、給与面に大きな不満を漏らすケースは減りましたが、まだまだ安易な選択をしたばかりに『こんなはずじゃなかかった』と思う人が多いのです。 また企業側にも問題があって、よく会社を見極めなければ、元プロ野球選手の人脈などを食いつぶせばいいと考えている俗に言うブラック企業もあります。どんな仕事をして、将来どうなりたいか、自分には何ができるのかという自己分析と、将来の人生ビジョンを描いてから会社を選ぶ必要があるんです」