ピーク時の4分の1に…「ハンター不足」このままでは「クマ」と戦えない!どうする猟友会の高齢化問題
クマ出没で出動が増える「猟友会」…本来は”狩猟愛好者”の団体
クマ出没のニュースが後を絶たない。環境省が1日に公表した速報値によると、4~10月末の時点でクマによる被害に遭った人は、18道府県で過去最多の180人にのぼる。 【命がけ…】弾を外せばクマに反撃される。引き金を引くときはやっぱり怖い… 例年、クマの出没は冬眠に入る前の10月から増える傾向にあるが、今年は特に人里での目撃が相次いでいる。背景には深刻なエサ不足があるとされる。 「クマのエサであるドングリが全国的に凶作傾向で、北海道では山ブドウやコクワも不作の地域が多いようです。 クマは例年12月上旬から中旬にかけて冬眠に入りますが、エサが多い年は冬眠が遅く、エサがないと冬眠が早い。エサ不足の今年はちょっと早まるかもしれません。 ただ、その前の時期はエサを探して人里まで行動範囲を広げるだろうし、本州だと民家周辺に柿を食べに出てくる可能性があります。人間にとっては厄介でしょうね」 クマの生態に詳しく、北海道のヒグマ対策の最前線にも立つ酪農学園大学の佐藤喜和教授はそう指摘する。 異例の頻度でクマが出没するため、捕獲や駆除を担う猟友会は出動の機会が増える一方だ。しかし、猟友会の多くはハンターの高齢化と担い手不足の問題を抱える。たとえば道内71支部から成る北海道猟友会の会員数は5361人で、ピーク時の4分の1近くまで減っている。 「猟友会は基本的に狩猟愛好者の団体で、入会率はかなり高いです。その中には鳥撃ちをする人もいれば、シカやイノシシが専門の人、クマを獲る人もいます。 ただ、猟銃を所持することのハードルは高いですし、そもそも若い世代が銃で野生動物を獲ることに興味を持つかというと、昔ほど多くはない気がします。 クマはかつて、毛皮や肉、熊の胆(くまのい)を含め、北海道では一頭が最高で100万円くらいの値をつけたこともありました。同時にクマ撃ちは地域の安全を守ることにもつながっていて、やりがいがあったわけです。それが今は、薬事法とワシントン条約によってクマの胆のうは商取引が規制され、毛皮もまったくお金にならず、すっかり市場価値を失ってしまった。クマ撃ちの対価として得られるのは、日当か一頭に対する報奨金くらいです。 そうすると、担い手は増えにくい。一方で現役のハンターは高齢化していく。それが猟友会の現状だと思います」 それでも、自治体はクマ駆除の要である地元の猟友会に頼らざるを得ない。