ピーク時の4分の1に…「ハンター不足」このままでは「クマ」と戦えない!どうする猟友会の高齢化問題
「有害鳥獣駆除の専門的な技術を持つのは、たいてい猟友会に所属するハンターです。地域での活動単位となる支部や部会の中で受け継いできたノウハウがあり、長年の経験から得た地域の地形やクマの行動パターンなどに関する知識もあります。 今は、猟友会の会員が自治体から業務委嘱を受けて、要請があった場合に出動するという形式が多いようです。出動に対して日当が決まっている場合もあれば、1頭の捕獲に対して報奨金が支払われる場合もあり、報酬に関しては自治体それぞれだと思います。 いずれにしても、猟友会の会員が元気でクマの駆除を担えるのであれば、若手に技術や知見を継承しながら続いていくに越したことはないでしょうね」 ◆「ほぼ”手弁当”で現場判断から駆除まで…」でいいのか 今でこそクマの駆除に対して2万円以上の報奨金を支払う自治体もあるが、やはり地域差があり、見合わない額ながら地域の安全のためにと責任感から出動要請に応じるハンターは少なくないようだ。 本来は狩猟愛好者である猟友会員が、ほぼ手弁当で現場判断から駆除まで担う今の体制を疑問視する声もある。 「猟友会の高齢化が進んでいたりすぐに出動できる会員がいなかったりする地域は、狩猟に関心のある若い人を市町村の役所が雇用し、有害駆除を担う人材として育成するといった方向を検討してみてもいいのかもしれません。 たとえば地域おこし協力隊を活用し、3年の任期中にハンターの知識と技術を身につけながら鳥獣対策に当たってもらい、任期終了後に職員として雇用するのも一つの方法じゃないでしょうか」 ◆消防隊、警察官…既存の公的組織の活用検討を急ぐべき さらに佐藤教授は、既存の公的組織の活用を提案する。 「本来は鳥獣行政組織の中に、クマをはじめとする大型野生動物の市街地出没などの際に現地対応できる専門部署を設置すべきです。しかし人口減少社会の中で、新たな行政組織を立ち上げるのはハードルが高いかもしれません。 既存の組織の中でと考えると、実は『消防隊』が適任ではないかと考えています。日頃から地域を災害から守る役割を担っているので、鳥獣対策と親和性が高いと思うんですよ。 たとえば、クマが人の生活圏に侵入した際に対応する特殊部隊のような人員を広域的にどこかの消防署に配置し、緊急時にはその隊員が優先的に出動できる仕組みを構築する。 消防学校のカリキュラムに鳥獣対策の科目を新たに加えて、選択する人を募る形で教育もできるでしょう。最終的に、特殊部隊が事故を防ぐ啓発活動から侵入防除策の実施、そして捕獲までを担うようにするなど、いろいろ可能性はあると思っています」