「内向型の人」が備えている集中力は、情報処理に多くのエネルギーを使用するためだった
ゲイツの集中力がなぜすごいかについてはコンピューター科学者のカール・ニューポートの分析が興味深いので紹介します。 彼は「ディープワーク」という概念を提唱し、ゲイツこそディープワークの実践者だと指摘しています。 ディープワークとは注意力が散漫することなく集中し、脳が潜在能力をフル稼働させている状態です。ディープワークが新たな価値を生み、スキルを向上させ、容易に真似ることができない競争力を生み出す源泉になります。
ディープワークを実践できれば、難しいことをより早く学べるように思考回路を組み直せます。その結果、より短い時間でより質の高い仕事も実現できます。 ゲイツは1年に2回山小屋にこもります。その期間を「シンキング・ウィーク(考える週)」として、外の世界を完全に遮断します。メールも携帯電話も使わなければ、インターネットにも接続しません。読書と思索にふけります。 もちろん、ビジネスのアイデアを練る場でもあります。従業員が提案する新しいイノベーションや投資案が記された紙の山にたったひとりで向き合い、構想をじっくり練ります。
1995年に提供を開始したInternet Explorerをはじめとするイノベーションは、まさにディープワークによって生み出されたといわれています。 ■内向型が持つ「エネルギーを内に向ける力」 内向型と外向型では情報処理の方法が違います。内向型の人と外向型の人の血液は、脳内でそれぞれ違った経路をたどるのです。 内向型の人の情報処理の経路は、より複雑で、内部に集中しています。内向型の人の血液は、記憶する、問題を解決する、計画を立てるのに関わる脳の各部へと流れます。経路は長く複雑です。
ですから、内向型の人は思考を重ねたり、細かい情報をまとめて抽象化したりする能力に長けており、長期的なプロジェクトを計画して実行するのが得意です。 対照的に外向型の人の血液は、視覚、聴覚、触覚、味覚(嗅覚は除く) が処理される脳の各部へ流れていました。彼らの主要な経路は短く、複雑ではありませんでした。 そのため、外部の出来事への反応は速いのですが、思い付きで行動するケースも少なくありません。 両者の情報処理の大きな違いは、外部からの刺激(情報)に対して意図や解釈を加えてから記憶し、処理・反応に結び付けるかどうかにあります。