『#27 マドレーヌ~夫婦で考えるプロレスラーの身体ダメージ~』女子プロレスマガジン リレーコラムSEASON2
「いつかリングを降りる日は訪れる」 改めて、日々考え過ごしている女子プロレスラーのマドレーヌです。 私は、2019年5月に井上京子選手が代表を務めるワールド女子プロレス・ディアナでプロレスデビューし、昨年末に団体初の寿退団、本年よりフリーランスとして活動を開始いたしました。現在プロレスラー歴4年8ヵ月、試合数は約370試合になります。夫でプロレスラーのエイサー8(沖縄プロレス)とも、この先の将来についてよく2人で話し合いをしています。 エイサー8は2009年にデビューし、今年でプロレスラー歴は15年目。デビューした沖縄プロレスでは、当時週6日試合があり、イベント試合も含めると年間の試合数は300試合を超えていたそうです。約3年間の沖縄時代だけで1000試合。試合中に脱臼をしても戦い続けるのは当たり前、受け身の取り過ぎで椅子に座っていただけで急に意識が飛び倒れた経験もあります。過去の蓄積もあり、現在も試合前後はもちろん、日常から念入りな身体のケアが欠かせません。
私も日々大先輩に囲まれる中、経歴はまだまだ新人5年目ではありますが、やはり多少なり怪我や身体のダメージと向き合う機会も多くなりました。 昨年は長く痛めている個所の手術や、試合中に脳震盪で意識が飛んだことによる欠場期間を経験。脳震盪では試合中にリングから転がり落ち、涙が止まらなくなり、頭痛が続き不安な日々を過ごすことになりました。 身体が小さいこともあり、試合では投げられる機会も多くあります。ジャーマン、タイガースープレックス、パワーボム…デビュー前はボディスラム1発で立てなくなるほどのダメージを受けていましたが、今では連日大技を受ける機会も増えました。もちろん受け身はとっています。受け身はとっていますが、受け身をとっても確実に身体にダメージは蓄積されていっています。 以前はダメージについて深く考えることも無くケアも怠っていましたが、結婚を機に、より自分の身体に向き合う時間が増え、冒頭の言葉通り「リングを降りる日」について真剣に考える機会が多くなりました。 夫婦ともにプロレスが好きで、とても大切にしている職業だからこそ、お互いに「好きだからこそ一生続けられる職業ではない」という共通認識を持っています。好きな職業だからこそ、リングを降りる日があるということを自覚しなくてはならない。その時に、満足し、納得し、その先の生活に進めるよう常に精一杯にプロレスに取り組んでいかなければと、よく2人で話し合います。 もちろん、まだまだ2人ともプロレスラーとして活動を続けていく気持ちで溢れています。そのためにも、食生活、身体作り、メンテナンスをしっかり行い、良いコンディションで皆様に戦いを届けられるよう精進していき、プロレスラー夫婦ならではの発信もしていく予定ですので、是非応援をしていただければ嬉しい限りです。