【米国株ウォッチ】独禁法違反の提訴で揺らぐグーグル、今後の株価の行方はいかに
アルファベット株(ティッカーシンボル:GOOG)は最近、司法省がGoogle Chromeの売却やライバルとのデータ共有などを強制することを示唆したことで、話題の対象になっている。裁判官は、この裁判の時期を2025年4月と設定した。グーグルは12月に独自の提案を提示する機会を与えられる。 グーグルが独占禁止法(反トラスト法)違反の裁判に直面していることは知られており、救済措置はAndroidの売却という極端なものになる可能性もある。この件は、最近のアルファベットの株価にも重くのしかかっている。 しかし、もう少し長い期間で見ると、アルファベットの株価は2022年初頭につけた144ドルの水準から、現在の170ドル付近まで約18%上昇している。その主な要因は以下の通りだ。 ・同社の収益が2021年の2580億ドル(約39兆8720億円)から現在の3400億ドル(約52兆5453億円)へと、約32%上昇 ・自社株買いに1710億ドル(約26兆4360億円)を投じたことにより、発行済み株式総数が8%減少 ・一方で、グーグルに対する独占禁止法違反訴訟に対する投資家の懸念により、同社の株価売上高倍率は2021年の7.6倍に対して、現在は6.5倍と約14%低下 ■何がグーグルの収益を押し上げたのか? ここ数年のグーグルの収益成長を牽引してきたのはクラウド事業であり、その勢いは強く、2021年から2023年にかけて同事業の収益は72%も増加している。しかし、クラウド事業の全体収益への寄与率は11%で、検索事業の56%に比べるとはるかに小さい。同社の中核を構成するその検索事業も好調で、AIの統合が広告収入の増加に貢献しており、この傾向は当面続くと予想される。 直近の四半期決算である第3四半期決算(Q3)の収益は883億ドル(約13兆6490億円)で、前年同期比15%増となった。成長を牽引したのはクラウド事業で、同事業の収益は同35%増の114億ドル(約1兆7621億円)と堅調だった。検索事業の収益は同12%増の494億ドル(約7兆6360億円)、YouTube事業の広告収益も同12%増の89億ドル(約1兆3757億円)だった。同社の自動運転車部門であるWaymo(ウェイモ)は、現在、毎週15万台の有料ライドを記録している。ウェイモはグーグルにとって、次の大型事業となるポテンシャルを持っている。 同社は大幅な増収を達成しただけでなく、収益性も改善した。アルファベットの営業利益は、2021年の790億ドル(約12兆2160億円)から34%増加し、現在は1050億ドル(約16兆2380億円)となっている。営業利益率は、2021年の30.6%から、直近1年間で30.9%へとわずかに改善した。