「103万円の壁」引き上げ、地方自治体の減収が課題に…政府・与党は穴埋め検討へ
「年収103万円の壁」の引き上げを巡っては、国だけでなく地方自治体の減収への対応も課題となる。政府は税収と地方交付税交付金を合わせて総額5兆円程度減ると試算しており、自治体は住民サービスなどに支障が出るとして懸念を強めている。
茨城県の大井川和彦知事は22日の定例記者会見で、年間520億円の減収になるとの試算を示し、「財源問題にきちっと対応するのが政府の役割だ」と指摘した。こうした声を受け、政府・与党は年末にかけて、国が地方減収を穴埋めする制度も検討する方針だ。
国税の所得税がかかるようになる年収103万円超を巡っては、地方税の住民税にも、所得税に連動して基礎控除(43万円)などが設けられており、国民民主党の要望に沿って基礎控除を引き上げると、地方税収は4兆円程度減ると見込まれる。
さらに、国から自治体に配る地方交付税交付金は、所得税など国税5税を財源にしており、所得税収は33・1%分が充てられる。基礎控除を引き上げて所得税収が減ると、地方交付税交付金も総額1兆円程度減少する計算になる。