羊文学、初のアジアツアーで気がついたセルフケアの重要性。『推しの子』ED曲の制作逸話も!
累計発行部数1700万部を突破したメガヒット漫画漫画『【推しの子】』(原作:赤坂アカ×横槍メンゴ)。この7月からスタートした本作のアニメ第二期で、エンディング主題歌を担当しているのが3人組の人気オルタナティブロックバンド・羊文学。今回はヴォーカルの塩塚モエカさんと、ベースの河西ゆりかさんがyoiに初登場!インタビュー前編では『【推しの子】』のために書き下ろした楽曲『Burning』について、また多忙な日々を支えるセルフケアについても伺いました。 【羊文学】河西ゆりか、塩塚モエカ インタビューフォトギャラリー
■河西さん:「第一期の放送が始まったときにハマってしまい、漫画も買って読んでいたんです」 ──昨年にTVアニメ化され、グローバルで大ヒットした『【推しの子】』第二期エンディング主題歌を担当することが決まったとき、どのような気持ちでしたか。 塩塚モエカさん(以下、塩塚):『【推しの子】』は男女が性別を超えて活躍しているところに魅力を感じて、私の中にあった青年漫画のイメージを覆してくれたんです。だから、そういった作品に楽曲を通して関われることが純粋にうれしかったですね。 河西ゆりかさん:(以下、河西):私は第一期の放送が始まったときに、すごく面白くてハマってしまい、それから漫画も買って読んでいたんです。だから、エンディング曲を通して携わることができると分かったときは、私もすごくうれしかったです。 ■塩塚さん:「原作で描かれていた、今悩んでいることと昔のトラウマが複雑に混ざり合った“葛藤”が出発点」 ──『Burning』を制作する上での出発点はどこでしたか? こだわった部分を教えてください。 塩塚さん:原作を何回も読んだのですが、そのときに登場人物の心理描写がすごくうまいなと思ったんです。今悩んでいることと、昔のトラウマが複雑に混ざり合った葛藤の描き方が面白くて、そこが曲を作る上での出発点になりました。 歌詞は、サビに向かって世界が開けていくようなイメージで書きました。私自身も、『【推しの子】』の登場人物のように日々いろんな葛藤を抱えているけれど、ステージの上に立つとそれが一旦すべて振り払われるんです。そして、ステージに立っている今の自分に集中すると、心の奥底にある本当の気持ちに目を向けられる瞬間があって。Aメロ・Bメロではそういった葛藤を描き、サビの歌詞ではステージの上で感じる解放感を取り入れました。 ■初のアジアツアーで気がついた、自分自身のケア ――「【推しの子】」は、グローバルでも人気の高い作品です。羊文学は近年、海外での活動を積極的に展開し、24年3月にはソウル、中国大陸、台北、バンコクを巡る初のアジアツアーを開催しました。ツアーはいつも以上に心身のエネルギーを消耗するのではないかと思います。どのようにセルフケアをしていたのでしょうか。 河西さん:各地でおいしいものを食べたり、中国大陸や台湾ではマッサージに行ったり。あとは、ツアー前に大量買いしたサプリ「オーソモル」(※ドイツ発のドリンク×錠剤のサプリメント。マルチビタミンやミネラルを配合)を毎日飲んでいました。 塩塚さん:私は、心身のケアがあまり上手にできていなかったかなぁ…。実は、アジアツアー中に、落ち込んで泣いちゃったことも。国内ツアーだとコンビニで入浴剤を買って、ライブ後にお風呂でリラックスすることができるんですが、海外のホテルはバスタブがないことも多かったし。 ──では、塩塚さんにとってセルフケアは今のご自身の課題でもあったりするのでしょうか。 塩塚さん:そうですね、自分に合ったセルフケア方法を日々いろいろと試しながら探っている最中です。去年は、マッサージや筋トレをしてみたり、カウンセリングを受けてみたりもしました。でも、マッサージや筋トレは、やりすぎてしまうと逆に疲れることも…。自分にとってのちょうどいい塩梅を見つけたいなと思っています。そういえば最近、自分を整える方法を模索するなかで、「気にしすぎないこと」がいちばん大事だなと気づいたんです。 河西さん:それは、すごく大事だよね。 塩塚さん:「ツアーだから絶対に体調を崩したくない。体調を崩したら終わりだ」と気負うと、それがストレスになって体調を崩してしまうんです。「楽しければいっか。失敗しても、その失敗から学べばいいや」くらいの軽い心持ちでいることが私にはいいんだ、とこの春のアジアツアーを経て分かりました。 河西さん:特に海外ツアーの場合は初めて行く場所も多い。そのときに力みすぎるのではなくて、「純粋に楽しもう」というスタンスでいるほうが上手くいくよね。 塩塚さん:そう。あと、何か想定外のことが起こったときも、「そっか。じゃあこうしよう」と柔軟でいられるんですよね。 ▶【羊文学インタビュー後編】心と体のバランスのとり方は?に続く オルタナティブロックバンド 羊文学 Vo.Gt.塩塚モエカ、Ba.河西ゆりか、Dr.フクダヒロアからなる、オルタナティブロックバンド。2017年に現在の編成となり、2020年8月に「砂漠のきみへ / Girls」でメジャーデビュー。2022年にリリースしたアルバム「our hope」は、第15回CDショップ大賞2023 大賞<青>を受賞。2023年、TVアニメ『呪術廻戦』の第二期エンディングテーマとなった「more than words」が、大きな話題に。今年3月には、バンドとして初のアジアツアー「羊文学 Hitsujibungaku ASIA TOUR 2024」も全公演ソールドアウトで完走し、7月からはシンガポール、クアラルンプール、マニラ、香港の全4都市をまわる追加公演も決定している。 『【推しの子】』STORY ヒットメーカー“赤坂アカ×横槍メンゴ”の豪華タッグが描く、芸能界の闇を描いたヤングジャンプ連載作品。『アイドル×転生×サスペンス』3つの要素が融合したストーリーが人気を呼んだ。7月3日からTOKYO MXほか全国35局にて待望の第二期が放送中。 撮影/新田君彦(えるマネージメント) ヘア&メイク/kika 取材・文/海渡理恵 構成/福井小夜子