大学入学共通テスト「情報」出題の最新事情
情報科入試に向けた各大学の最新の動き
続いてマイクを握ったのは、河合塾の富沢弘和氏だ。富沢氏はまず、情報入試に対する大学の公表状況の最新データを紹介した。本来、入試の内容が大きく変わる場合は2年前に公表するというルールがあり、国公立大学は一通り公表が終わっている。しかし、私立大学は依然として4分の1が未公表という状況だ。 中でも気になるのは、大学入学共通テストを利用する大学における情報の配点だ。6教科8科目を受ける場合、合計が1000点満点となり、100点満点の情報は本来なら10％の配点となる。だが実際には配点比率を10％未満に下げる大学が全体の6割強ある。 もちろん、これはあくまで初年度の状況だ。いずれは10％以上に配点を重くする学校の割合が増えていくと富沢氏は見ている。
問われる大学の旧課程履修者への対応
大学入学共通テストでは初年度に限り、旧課程履修者への経過措置が行われる。富沢氏の見立てでは「年々減ってはいるものの、旧情報を受験する生徒は3万人程度いる」という。2022年11月に公表された試作問題では経過措置として「旧情報」が設定された。100点満点中、情報と旧情報で同じ内容の出題は65点分にとどまり、それ以外の設問は選択可能となっていた。 しかし、大学によってはこの経過措置の旧情報の得点を利用できないとしており、富沢氏は注意を喚起した。「大学入試センターが受験生に不利益が生じないように用意した措置が使われていない」と問題視しており、利用不可とした大学にはそれぞれ確認を取っているという。しかしこうした大学は30校ほどあり、文部科学省も2024年4月中旬の段階で改めて措置を講じるよう通知を出している。 続いて、大学入学共通テスト以外に、個別に情報の入試問題を出題する大学の最新状況が紹介された。2024年度に個別入試で情報を出題した大学が18校あったのに対し、2025年度は5月末の調べで29校が確認されている。中でも特徴的なのはCBTを採用する電気通信大学、個別試験に加えて共通テストの情報も必須とした広島市立大学 情報科学部、情報Ⅱを出題範囲とする慶応義塾大学 総合政策学部・環境情報学部の3校だ。ただ、全体としては必須で課すケースはさほど多くなく、選択で出題し、得意な生徒が得点を伸ばせるような扱いが増えそうだ。
