感傷的になるほど「イイクルマ」 シンプルがベスト ヴォグゾール(オペル)・コルサヘ試乗
実用性は先代コルサの方が優れていた
車内を観察すると、メーター用モニターとステアリングホイールが新しくなったことがわかる。ファブリックも上質になり、印象を高めている。とはいえ、このクラスで最も魅力を感じるインテリアとまではいえない。 インフォテインメント・システム自体に、目立った変更はない。しかし、使い勝手が悪いわけではない。 ベースグレードでも、コルサ・エレクトリックより装備は勝る。タッチモニターは7.0インチではなく10.0インチと大きく、スマートフォンとのミラーリング機能も、有線ではなく無線で対応する。 エアコンの操作パネルには実際に押せるハードスイッチが残り、車線維持支援システムの切り替えスイッチも独立して用意されている。欧州で義務化される速度制限の警告システムは、2024年6月までに機能させるという。ソフトウェアで対応するようだ。 車内空間はほどほど。リアシート側は、子供用だと割り切った方が良いだろう。実用性だけを見れば、先代コルサの方が優れていた。
感傷的な気持ちになるほどイイクルマ
走りの洗練性や動力性能、扱いやすさは、バッテリーEVのコルサ・エレクトリックと遜色なし。車重は約350kgも軽く、落ち着いた操縦性と乗り心地が備わっている。コルサ最大の魅力が「シンプル」であることを、体現する仕上がりにある。 1.2Lガソリンターボはトルクが太く、充分以上にたくましい。6速マニュアルは、変速フィールが好ましい。連続するコーナーを、意欲的に駆け抜けられる。 高速巡航は静かで快適。ライバルと比べて、1番機敏というわけではなく、洗練性で他を凌駕するわけではないが、心地良く経済的。長時間でも運転しやすい。バッテリーEV版へ、英国の既存ユーザーを惹きつけることが難しいほど。 コルサが、英国最後の内燃エンジン車になる可能性はゼロではない。クラス・ベストではないかも知れないが、お別れの日がいずれ来ることを考えると、感傷的な気持ちになってしまうほどイイクルマだ。
ヴォグゾール(オペル)・コルサ 1.2ターボ 100GS(英国仕様)のスペック
英国価格:2万2905ポンド(約424万円) 全長:4060mm 全幅:1765mm 全高:1433mm 最高速度:193km/h 0-100km/h加速:9.9秒 燃費:19.2km/L CO2排出量:117g/km 車両重量:1100kg パワートレイン:直列3気筒1199cc ターボチャージャー 使用燃料:ガソリン 最高出力:100ps/5500rpm 最大トルク:20.8kg-m/1750rpm ギアボックス:6速マニュアル(前輪駆動)
マット・ソーンダース(執筆) 中嶋健治(翻訳)