木根尚登、いじめの両方を体験 本と歌でいじめ撲滅訴え「傍観者に届けたい」
いまの自分を形成したTMネットワーク
近年、木根は音楽活動を主軸に、劇団を主宰や役者として舞台出演するなど、演技の仕事にも力を入れてきた。そしてそのほかに、いじめ撲滅の活動がある。それぞれが大事な活動だが、中心にあるのはやはり音楽だ。とくに、いまの自分を形成するのにTMネットワークは大きな役割を果たしたという。 「TMは僕が入社した会社、あるいは学校です(笑)。ソロではもともと好きな音楽を趣味の延長でやっていますが、小室君や宇都宮君から学んだことは多い。とくに小室君はぜんぜん僕と違うタイプなので、一時期はこのバンドで自分はやっていけるのかな?って疑問もありました。僕はフォークソング世代で、吉田拓郎さんから音楽に入ったので。小室君はもろ洋楽、真逆の音楽をやっていた。だから楽しいことばかりではなかったけど、でもTMは学校なんだとか、お給料もらってるから会社なんだとか、自分に言い聞かせながらやってきたんです」 ソロ活動のほうも、スタートして25年が経ったことを記念し、集大成ともいえるライブを12月に行う。これまでキャリアを重ねる中で、心がけていることは……。 「行き当たりばったり、ですね」と笑う。何も決めていないドキドキ感がいいという。 しかし、いじめ撲滅活動は行き当たりばったりではない。行き当たりばったりで生きてきたミュージシャン木根が、人生を通して取り組んでいる大切な活動だ。音楽や芝居とともに、いじめ撲滅という面でも何を生み出していくのか。木根尚登がやることを見逃してはいけないと感じた。 (取材・文・撮影:志和浩司)