公認不倫を描いた人気漫画『1122』実写ドラマ化!監督&脚本家夫婦が手がけた「リアルな夫婦の本音」とは?
もやもやした思いをためこんでしまうところも人間っぽいんですよね(かおりさん)
──渡辺ペコさんの原作を読まれたときは、どんな感想を持ちましたか? かおりさん 一子(いちこ)と二也(おとや)の夫婦が公認不倫を選択して、不器用ながらもお互いあまり嘘をつかず、一緒にいることをあきらめない姿がすごく面白いなと思いましたね。 力哉さん 「公認不倫」という言葉だけ聞くと、特殊なこととして受け止められがちだけど、作品の中では二人がセックスレスをどうにかしようと考えて生まれたひとつのアイデアなんですよね。 まわりから見ると理解できないことかもしれないけど、本人たちがそのときにできるいちばんいい方法を模索している感じは、読んでいて面白かったです。 かおりさん 夫婦の形を保つために選択したことではあるけれど、一子はやっぱりどこかに「嫌だ」という気持ちがあって。それを素直に言い出せなくて、もやもやした思いをためこんでしまうところも人間っぽいんですよね。 ──漫画原作の作品を実写化するうえで大事にすべきところなど、お二人の共通認識はどうやってつくられたのでしょうか。 かおりさん 特に話し合ってはいないんです。原作で自分が面白いと感じた部分を軸に、そこからズレないように書くことは意識しました。 力哉さん あとはドラマにしたときに「公認不倫で嫌な気持ちになるなんて、最初からわかってたじゃん」みたいな感覚で観られてしまうと、1話で離れちゃうだろうなと思ったので、そのあたりはどうしたらいいか、キャスティングも含めて気をつけました。 誰がいい悪いではなく、それぞれの立場や視点があるというか。そこは一子を演じた高畑充希さんも二也を演じた岡田将生さんも、理解して演じてくれていたと思います。特に二也は、いい意味で脚本と映像の仕上がりに差があったと妻は感じたらしくて。 かおりさん そうそう、ちょっとゆっくり喋ったり、語尾を伸ばしたり。「わかってないでしょ」っていう天然な感じが出ていて、すごくいいなと思いました。たぶん、岡田さんがいろいろと考えてつくってくれたんだろうなって。 力哉さん 3話目を撮影しているときかな。不倫相手と出会った生け花教室に通い続ける二也の能天気さについて「そりゃあ一子もつらいよね」と現場でぼそっと口にしたんです。そしたら「もうちょっと二也の気持ちも考えてくださいよ~」と岡田さんに言い返されて、「ああ、すみません」となって(笑)。どうしても俺は一子の目線で現場にいてしまうことが多かったので、岡田さんが素直に二也としてそこにいてくれたことがうれしかったです。 原作より二也が泣くシーンが多いのも、岡田さんが“自分が二也だったら”という気持ちでつねに存在してくれたから。作品の本質が変わってしまうようなら感情を抑えてもらわなきゃいけないけど、自然に出ちゃう涙は仕方がない。そのときの素直な気持ちを生かしたことで、印象的なキャラクターになったと思います。