グリーン車はなぜ「グリーン」なの? 意外と知らない名前の由来、有力とされる説は
夏休みに利用した人もいるかもしれない、「グリーン車」。普段から何気なく耳にしているこの名称だが、どのような由来があるかはご存じだろうか。 【画像】新幹線に半額で乗れる?鉄道のプロが教える破格の割引券 「All About」鉄道ガイドの野田隆が解説する。 (今回の質問) グリーン車はなぜ「グリーン車」という名称なんですか? (回答) グリーン車の前身である1等車の車両の窓下に、薄緑色のストライプがあったからだという説が有力とされている。
◆かつて「等級制」だった日本の鉄道
日本の旅客車両は、かつて3等級制だった。鉄道創業時は上等・中等・下等だったが、下等はちょっとひどい言葉だと批判され、1897年からは1等・2等・3等と呼ばれるようになった。 車両形式は、1等=イ、2等=ロ、3等=ハで表記された。よく耳にする「モハ」はモ(モーター付き)の普通車(電車)、「キハ」はキ(気動車=ディーゼルカー)の普通車、という意味である。 第2次大戦後、国鉄の1等車は機関車けん引の特急列車の最後尾に連結される展望車(マイテ)くらいしかなく、1960年に東海道本線の特急列車が全て電車化されると、1等車はなくなった。 そこで、旧2等車が1等車(車両の形式記号は「ロ」のまま)に、旧3等車が2等車(車両の形式記号は「ハ」のまま)に移行し、2等級制となった。また、グリーン車時代になっても車両形式記号が「ロ」から「イ」に変わることはなく、そのままモロ、サロ、キロとして表記されている。
◆「普通車」「グリーン車」へ移行
日本は高度成長期となり、1億総中流時代と呼ばれるようになった。社会は豊かになり、平等が叫ばれ、2等車のレベルも相対的に向上する。そのような時代にあって、1等・2等は差別的ともとられるようになったので、1969年に国鉄はモノクラス制に移行し、1等・2等の運賃の差別を撤廃した。 代わりに、普通車に対して特別車両を設置、運賃は同じながら、特別車両の料金を別途徴収する仕組みとなった。このとき特別車両の愛称を、等級を表わす数字ではなく「グリーン車」とした(多くの車両の場合、1等車の名称変更である)。 この当時の1等車の外観は、窓下にライトグリーンのストライプが入っていたため、「グリーン車」という名称はこれに由来するとする説が有力だ。さらに、ドア脇などに緑の四つ葉のクローバーマークを付けたため、グリーン車の愛称は瞬く間に普及した。 グリーン車の車内は、普通車に比べてゆったりしていて、座席も広めでリクライニングもよく効く。この当時の普通車は、4人向かい合わせのボックス席が主流であったため、グリーン料金に見合ったものであった。 新幹線も普通車は、通路をはさんで3人席+2人席だが、グリーン車は2人席+2人席とゆったりしている。東海道新幹線の場合は、普通車から車内販売がなくなったが、「のぞみ」「ひかり」のグリーン車ではモバイルオーダーサービスとして残り、さらに雑誌のサービスなどで差別化している。 JR東日本(首都圏)の中距離普通列車の多くには2階建てグリーン車が2両連結され、ロングシートが一般的となった普通車に比べると居住性は良好だ。季節や時間帯によっては空席が目立つので、窮屈な感じがなく、料金が高いだけのメリットはある。