アギーレJが取り戻したギラギラ感の背景にあるものとは?
現役の選手にとっては、何歳になっても代表は特別な存在となる。 「僕自身はアギーレさんになって1試合しかやっていないですし、まだまだアピールする立場。自分の持っているものをすべて出さない限りはメンバーに選ばれ続けることはないと思っている。毎日毎日いろいろなものを吸収しながら、監督の要求にしっかりと応えていければ。年齢は関係ないと思っている」。 独特の飄々とした口調で遠藤がこう語れば、長谷部の心中にも新境地であるアンカーへの意欲がわきあがっている。 「次のオーストラリアはもっとやってくるかなというのがあるし、周りと連携した守備をもう少し考えないといけないし、攻撃の部分ではビルドアップのところで僕が最終ラインに入るばかりではなく、もう少し自分で持ちあがったり、もうひとつ前の中盤のところでボールを受けたりとか、出してからもう一回前に行くといったバリエーションをいろいろと増やしていきたい」。 サッカーの代表に限らず、チームというものは若い世代の突き上げがあって初めて活性化していく。しかし、アギーレジャパンがたどった道は真逆と言っても決して過言ではない。遠藤や長谷部、ホンジュラス戦は出場なしに終わったMF今野泰幸(ガンバ大阪)らの30代が起爆剤となってチームが誇りを取り戻し、ようやく好循環が生まれつつある。 就任以降の3カ月間で代表に相応しい新戦力を探したものの、残念ながらごく少数しか見つからなかったのか。あるいは高まりつつある雑音を快勝で封じたいがために、ベテラン勢の経験値に頼ったのか。真意はともかくとして、アギーレ監督は試合後の公式会見でこう語っている。 「遠藤と長谷部が入り、中盤が自信をもってプレーした。経験豊富な選手たちはやるべき仕事が分かっている。彼らと香川がいて、非常にテンポのあるゲームができた。私はベストの23人を探している。年齢や所属チームは気にしていない。質が高く、代表でプレーする意欲が高い選手を探している」。 目標を短期、中期、長期の3段階に分ければ、当面のターゲットであるアジアカップ連覇へ向けては弾みがつき、かつ戦力の計算が立てられる白星をアギーレジャパンは手にした。しかし、中期となるワールドカップ・アジア予選、そして最終的なゴールとなる4年後のロシア大会をにらめば、2018年に38歳となる遠藤、同じく34歳になる長谷部の重用には疑問符を付けざるを得ない。 ホンジュラス戦で本田に代わってキャプテンマークを巻いた長谷部は言う。 「ブラジル大会では応援してくれたファンやサポーターを、結果と内容とで失望させてしまった。もう一度期待してもらうためにも、新しいスタートを切りました。今日は新しいチームでしっかりコミュニケーションを取れたと思いますし、若い選手とともに日本サッカーをよくしていきたい」。 ザックジャパン時代から戦い方が180度変わった9月5日のウルグアイ戦が最初なら、ホンジュラス戦は2度目のリスタートとなるだろう。ピッチ上で躍動する顔ぶれがザッケローニ前政権下の11人に逆行していく流れをはらみながら、アギーレジャパンは18日にヤンマースタジアム長居で行われるオーストラリア代表との年内最終戦に臨む。 (文責・藤江直人/スポーツライター)