インバウンドで沸くスキー場、移動手段の確保なるか 有料「ライドシェア」、実証実験始まる
野沢温泉村の温泉街で、一般ドライバーが有料で利用客を運ぶ「公共ライドシェア」の実証実験が始まった。村では訪日客や住民が利用する公共交通の利便性向上が課題になっている。ライドシェアを「地域の足」に位置付け、来年1月末まで需要や運営態勢などを検証する。この日は村役場前で出発式があり、使用する車両が披露された。 【地図】野沢温泉村はここ
実証実験は、村の一般社団法人「野沢温泉マウンテンリゾート観光局」が、JR東日本を中心とした共同事業体「WaaS共創コンソーシアム」の事業の一環として進める。運行管理は村の「のざわ温泉交通」が担う。
専用の軽自動車を3台用意し、ドライバーは村内に在住か在勤の人を対象に、10人程度を採用する計画だ。利用客は配車アプリか電話で申し込み、タクシーと同額の運賃を車内の端末から電子マネーで支払う。基本営業時間は午前8時~午後6時。利用客にはアンケートを依頼し、検証に生かす。
村には冬季を中心に国内外からスキー目当ての観光客が多く訪れるが、訪日客らがタクシーで移動しようとしてもドライバー不足で十分に対応できていない。また、村が温泉街と北部地区の間で委託運行する「湯の花号バス」は便数が限られるなど、住民の移動の利便性確保も課題だった。
実証実験で効果が確認できれば、運行時間や期間を延ばし、運行範囲の拡大も検討する。同観光局の小田切美幸代表理事は、利用希望がある時にドライバーとマッチングできるかが課題になると指摘。「人材を確保して移動が円滑になれば、生活や観光がうまく回っていく」と期待した。