道端のオレンジの花…すごく危険? 繁殖力強い〝ナガミヒナゲシ〟 専門家「ちょっと注意を」
ロードサイドに花が咲く秘密
道路沿いや中央分離帯などでもよく見かけるナガミヒナゲシの花。こうした場所でよく見かけるのは、種の構造に秘密があるそうです。 「種の表面がゴルフボールのようにくぼんでおり、雨などで濡れると靴底や車のタイヤなどにくっつくんです」 人や車の流れとともに、全国に広がっていったナガミヒナゲシ。東京で初めて確認されてから10年で、福岡にまで生息地域を広げたそうです。 「ナガミヒナゲシの種は0.6mmほどと小さいため、駆除するときに種をまき散らしてしまう可能性があります。種ができている場合は、種が飛ばないよう十分注意してください」 蔓延を防ぐには、実を結ぶ前、可能であれば「ロゼット」と呼ばれる状態の時期に駆除することが大切だと言います。 ただ、このロゼット状態、タンポポなど他の植物とよく似ており、見分けるのが難しいそうです。 「一方で、淡いオレンジ色の花はナガミヒナゲシのわかりやすい特徴なので、他のヒナゲシと明確に区別可能です。花が咲いているのを見たら、種ができる前に抜いてしまうのがよいと思います」
怖がりすぎず、冷静に対処を
藤井さんはナガミヒナゲシについて、一定程度の注意をうながす一方で、いたずらに怖がる必要はないと話します。 「ナガミヒナゲシは他の植物の成長を妨げる物質を出しますが、この物質からどれくらい影響を受けるかは、植物の種類によっても異なります。例えば、キク科の植物は影響を受けやすい一方で、イネ科の植物は影響を受けにくいのです」 10年ほど前、藤井さんが当時勤務していた農研機構でナガミヒナゲシについて情報発信をした際、自身が想定していたよりも大きな反響があったと振り返ります。 「『ナガミヒナゲシは見つけ次第駆除しなければいけない』と受け取った方もいたようです。ご近所の庭に栽培されているナガミヒナゲシまで引き抜こうとしてトラブルになった事例もあったようで、これは伝え方が良くなかったかもしれないと思っています」 ナガミヒナゲシの扱いには一定の注意が必要なものの、特定外来生物には指定されていません。この花とどう向き合うかは、最終的にはその人の「好み」の問題だと藤井さんは話します。 「ナガミヒナゲシの花を鑑賞したいのであれば、庭に生えたものをそのままにするのもありだと思います。ただ、その場合は『ナガミヒナゲシでいっぱいの庭』になる可能性があることは覚悟しておいてください」