ブリヂストン、2輪用タイヤの新製品「バトラックス スポーツツーリング T33」発表会 摩耗ライフが47%向上
ブリヂストンは11月5日、モーターサイクル用スポーツツーリング向けラジアルタイヤ「BATTLAX SPORT TOURING T33」の新商品発表会を開催した。 【画像】「BATTLAX SPORT TOURING T33」の新商品発表会 「BATTLAX SPORT TOURING T33」の発売サイズは2025年に10サイズ(フロント用4サイズ、リア用6サイズ)、2026年以降に5サイズ追加予定、日本では2025年2月1日より発売され、価格はオープンプライス。 ■ 摩耗ライフを47%向上させた「BATTLAX SPORT TOURING T33」 今回発売する「BATTLAX SPORT TOURING T33」でトピックとなるのは、従来品「BATTLAX SPORT TOURING T32」との比較で、摩耗ライフ性能で47%向上を実現させたところ。 摩耗ライフを向上させながら、ドライ路面性能でも性能を向上、ウェット路面性能で同等レベルを維持、摩耗ライフの向上と安心感のあるハンドリング性能を両立させたツーリングタイヤとの位置付け。従来品の「T32」に加えて重量車両向けの「T32GT」の領域もカバーする、ワンスペックで車両重量を問わず幅広い車種に適合させた。 ■ ツーリングを楽しむライダーに向けたタイヤ 同発表会には、ブリヂストン グローバルMCタイヤ事業部長 坂上賢崇氏と、同タイヤ開発第3部門 MCタイヤ設計第2課 上野峻穂氏が登壇して、「BATTLAX SPORT TOURING T33」について説明した。 坂上氏からはゆったりとロングツーリングを楽しみたいライダーに向けて「紅葉を見に行って、景色を楽しみながら目的地で温泉に入ったり、美味しいもの食べてツーリングを楽しんでいただく方にお届けするタイヤ」であると、ツーリング走行に必要な性能を維持しつつ、摩耗ライフを大幅に向上させること目指して開発してきたことが紹介された。 ■ 切れにくい新ポリマーの採用により耐摩耗性を向上させた新コンパウンドを採用 「BATTLAX SPORT TOURING T33」に搭載技術については、上野氏から解説があり、リアセンター部に新ポリマーを適用した新設計コンパウンドを採用。タイヤパタンはフロントとリアともに新設計パタンを採用、ベルト部はフロントはクロスベルト、リアはモノスパイラルベルトとして最適化、タイヤ形状はフロントとリアともにT32形状を踏襲。「T32」対比で47%の摩耗ライフ向上させたことについては、コンパウンド、パタンデザイン、構造の新設計により「T32」対比で接地面後方における滑り域を低減させたことなどが紹介された。 上野氏は「まずリアセンターには新ポリマーを適用した新設計コンパウンドを採用しております。そして溝ブロック比率、パタン剛性を最適化した新設計パタンをフロント、リアそれぞれに採用しております。さらに柔軟性、しなやかさを向上し、さまざまな車種で車重を問わず適合するため、前後のバランスを整えるためにフロントはクロスベルト構造、リアはモノスパイラルベルト構造を採用しております。形状につきましてはフロント、リアともに定評のあるT32形状を踏襲しております。これにより、コンパウンド、パタン、構造、形状のそれぞれの要素を最適化することで摩耗ライフ、グリップ、安定性、そしてハンドリングといった各性能をバランスよく向上させています」と説明。 リアセンター部に採用された新開発コンパウンドについては「タイヤの磨耗は、車両の走行によってタイヤが路面に食いつき、そしてそれが離れたときに滑ることによって、ゴムがちぎれて磨耗が進展します。このゴムがちぎられて磨耗するというメカニズムをより細かく見ていきますと、ゴムの中に存在するポリマーが切断することに起因しています。T33ではこのポリマーの切断に着目しまして、ポリマーが強く切れにくい新ポリマーを採用しています。この新ポリマーを採用した耐摩耗ポリマーを使用することによりポリマーが切断されにくくなり、磨耗しにくいコンパウンドを開発することができました」。 「ただし、あまりにも切れにくいポリマーを採用してしまうと、摩耗性能は向上しますが、路面にタイヤが食いつかず、グリップしないコンパクトになってしまいます。そこでT33のコンパウンドでは、ポリマーを強化しつつ、グリップを損なわない、よいバランスを持ったコンパウンドとして開発に成功しています」と解説した。 そのほかにもウェット性能に関わる部分では、コーナリング中のハンドル切れ角に注目した開発が行なわれ、「T32」比で10%少ない操舵角でコーナーを通過できるという評価結果を示して、操舵角を安定させることで、ウェット常用域における安心感向上を目指している。 上野氏は「ドライ路面を走っているときも安心感は大事かと思われますが、ウエットにおいても安心感はより重要ではないかと私達は考えます。私自身、ライダーとしてウェット路面を走行しているときに、濡れたコーナーに進入する時、ついハンドルを持つ手に力が入ってしまったりといった不安を感じた経験があります」と、穏やかで安心感があるハンドリングを目指したことが語られた。 説明の総括として、上野氏は「ドライについては、T32に対して性能を向上させ、そしてウェットについても同等レベルを維持しています。また摩耗ライフは47%伸長しています。ウェット性能にすぐれるT32と比べても、T33は遜色ないウエット性能を持ち、ドライ、そして摩耗ライフの性能を向上させた商品になっている」とまとめた。 ■ 発売サイズ 2025年発売サイズ フロント用 120/70ZR17 M/C(58W)TL 120/70ZR18 M/C(59W)TL(2025年4月発売予定) 120/70R19 M/C 60V TL 110/80R19 M/C 59V TL リア用 150/70ZR17M/C(69W)TL 160/60ZR17M/C(69W)TL 170/60ZR17M/C(72W)TL 180/55ZR17M/C(73W)TL 190/50ZR17M/C(73W)TL 190/55ZR17M/C(75W)TL 2026年以降追加予定サイズ フロント用 120/60ZR17 M/C (55W) TL 110/80ZR18 M/C (58W) TL 120/70ZR19 M/C 60W TL リア用 160/70ZR17M/C (73W) TL 160/60ZR18M/C (70W) TL
Car Watch,編集部:椿山和雄