イスラエル、国連のパレスチナ支援機関の国内活動を禁止へ ガザ紛争で関係悪化
イスラエルの議会は28日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の国内での活動を禁止する法案を賛成多数で可決した。これを受け、イスラエルを支援する西側諸国からもパレスチナ自治区ガザの深刻な人道状況がさらに悪化すると懸念が高まっている。 イスラエルのネタニヤフ首相は、議会での投票後にソーシャルメディアを通じて「イスラエルに対するテロ活動に関与したUNRWA職員は責任を問われなければならない。人道的危機を回避することも不可欠なため、現在も将来もガザでの人道支援が可能であり続けなければならない」との声明を出した。 法案を起草した議員らは、2023年10月7日のイスラエル南部への攻撃にUNRWAの職員の一部が関与したことや、イスラム組織ハマスや他の武装集団のメンバーとなっている職員がいたことを理由に挙げた。 UNRWAは数万人を雇用し、ガザやヨルダン川西岸、ヨルダン、レバノン、シリアで暮らす数百万人のパレスチナ人に教育や保健サービスを提供し、物資援助をしている。 国連は今年8月、昨年10月のイスラエル攻撃に関与した可能性があるUNRWAの職員9人を解雇したと発表。他にもハマス司令官などが職員だったことが判明している。 UNRWAのラザリーニ事務局長は、今回の法案可決は国連憲章に反し、国際法に違反していると非難し、「UNRWAの信用を失墜させ、パレスチナ難民への人材開発支援とサービスを提供するその役割を非合法化するキャンペーンだ」とXに投稿した。 また、イスラエル軍は同日、ガザ北部のカマル・アドワン病院に突入し、イスラム組織ハマスの戦闘員とみられる約100人を拘束したと発表。ガザ地区の保健省によると、この日の空爆と砲撃で少なくとも19人が死亡したという。 パレスチナの緊急当局によると、イスラエル軍の戦車部隊が同日、ガザ北部の2つの町と難民キャンプに侵入し、民間人約10万人が退避できない状況にあるという。 <停戦交渉> 米国、エジプト、カタールが主導する停戦交渉は27日に再開した。仲介国エジプトは2日間の停戦を提案。この間にハマスが拘束しているイスラエル人の人質4人とイスラエルが拘束するパレスチナ囚人の一部を交換するという。 エジプトのシシ大統領は27日、一時的な停戦実施から10日以内に恒久的な停戦に向けた協議が再開される見通しだと述べた。 一方、イスラエル軍は親イラン武装組織ヒズボラへの作戦を進めるレバノンで28日、南部ティールの広範な地区に退避命令を出した。すでに退避命令が出ている地区に加え、報道陣が宿泊することの多いホテルに近い地区なども対象となった。 また、ネタニヤフ首相は同日、ハマスとヒズボラとの戦争が終結すれば、さらに多くのアラブ諸国と和平協定を結ぶことを望んでいると述べた。 議会演説で、ハマスがガザ地区を支配しなくなり、ヒズボラが北の国境から撤退する日に向け、「われわれはこの2つの戦線を安定させる計画に取り組んでいる」と述べた。