７日朝、広島市内の宿泊施設。 ロビーに集まっていたのは、たくさんの犬です。 その数２４頭。背中には、「仕事中」の文字が。 【石井記者】 「宿泊施設ではなかなか見られない光景が広がっていますが、北は岩手から南は長崎まで盲導犬とそのユーザーが大集合しています」 ７日、広島で行われていたのは、日本盲導犬協会の研修旅行です。 広島県内を散策する視覚障がい者を盲導犬が導きます。 障害物があるとしっかり避けて導く盲導犬たち。 【石井記者】 「途中で段差があるんですが、一度ストップして盲導犬が段差を教えてくれています」 一行は船で宮島を目指します。 【船内やりとり】 「新たな人と出会えたり、景色は見えないけど、空気感とか香りとか、いいことばっかり」 宮島に到着すると早速注目を浴びます。 思わずシカも…（※一行を見つめるシカ） メンバーも手で旅を味わったり、それぞれ楽しんでいる様子です。 【日本盲導犬協会ユーザーの会・山本誠 会長】 「おいしいにおいがする（笑）」 実は、この研修旅行は、ただの旅ではありません。 ある目的がありました。 【日本盲導犬協会ユーザーの会・山本誠 会長】 「盲導犬を地方の方は、見たり触れ合ったりする機会がなくて、私たちがあちこち出向いて皆さんにも盲導犬が働いている姿を見ていただいて、体を目を補ってくれる犬がいるというのを知っていただいて、お店の受け入れに結びついたらいいなと思っています」 今から２０年以上前に「身体障害者補助犬法」が制定され、視覚障がい者が施設などを利用する際、盲導犬を同伴することが認められるようになりました。 さらに、今年４月には、これまで努力義務だった民間事業者の合理的配慮の提供が義務化されました。 しかし、今年発表された調査では、盲導犬同伴で「受け入れ拒否」の経験がある人は、４割を超えているのが実情なのです。 【日本盲導犬協会ユーザーの会・山本誠 会長】 「まだまだアメリカやヨーロッパに比べるとウェルカムじゃないところがある。こうした広島や地方に行けば行くほど多くなっている。知らないからこそ受け入れられないということがあるので。私たちが旅行がてら利用することで緩和されればいい」 【石井記者】 「盲導犬たちはこのように洋服を着ていますが、これにも理由があります。毛が下に落ちないよう、またこうやってくっついたときに洋服に毛がつかないよう工夫されているんです」 ほかにも毎日のブラッシングや歯磨き、排泄のタイミングなど衛生面の管理を学び、日々、努力を続けています。 【日本盲導犬協会ユーザーの会・山本誠会長】 「私たちの体の一部である、盲導犬を知っていただきたい。共生社会を目指していきたい」 かけがえのない存在、盲導犬。 やさしく見守り、受け入れる。 まずは、知ることがそのはじめの一歩です。 ＜スタジオ＞ 現在ユーザーは４０代～６０代中心で全国に８００頭弱、広島は１９頭といわれています。 仕事をする盲導犬を見ても「触らない」「声をかけない」「じっと見ない」「食べ物を与えない」が原則で、周囲の人は「やさしく無視してほしい」ということです。