日本が危険に直面しても、なぜ「円は安全」なのか?
日本のほかに似たような性格を有する国はユーロ圏(EUR)、スイス(CHF)、ノルウェー(NOK)、スウェーデン(SEK)、デンマーク(DKK)、ここ数年の韓国(KRW)などがありますが、こうした通貨は円と同様に、投資家心理が圧迫されているときに「買い戻し」の対象になります。その証拠に、ここ数年で最も激しいリスクオフ局面であった2016年1-2月には経常黒字+低金利の通貨が買われる動きが観察されました(散布図では経常黒字+低金利の通貨が左上に集中しています)。 以上、今回や東日本大震災など日本の安全が脅かされる局面で円が買われる背景を説明しました。政府債務が膨張している現状で「安全資産の円が買われる」という表現に違和感を覚えるかもしれませんが、より正確に表現すると「相対的に安全な円が反対売買の結果として買い戻される」となります。 (第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一) ※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。